コラム

新型コロナのパンデミックから5年、中国人はなぜ李文亮を懐かしむのか

2025年02月10日(月)11時00分
ラージャオ(中国人風刺漫画家)/トウガラシ(コラムニスト)
中国

©2025 REBEL PEPPER/WANG LIMING FOR NEWSWEEK JAPAN

<新型コロナのパンデミックから5年。感染の広がりを最初に告発した医師・李文亮のウェイボーには今も中国人の書き込みが続き、その数は100万件を超える。彼らは一体誰に、何を訴えているのか>

コロナ禍が終息した後、中国のSNS上ではネットユーザーが次の3つの日付を特別な日として毎年振り返っている。

12月30日(2019年):湖北省武漢市中央病院の眼科医だった李文亮(リー・ウェンリアン)が、SNS「微信」の同級生グループに「華南海鮮市場で7人のSARS(重症急性呼吸器症候群)感染者が確認された」と最初に発信した日。


1月3日(2020年):李が「インターネット上で虚偽の内容を掲載した」として、武漢市公安局の派出所に呼び出され、懲戒書への署名を求められた上、訓戒処分を下された日。

2月7日(2020年):新型コロナに感染した李の死去が発表された日(享年33)。

今年で李の死から5年だが、彼のSNS「新浪微博」アカウントには、今もネットユーザーが毎日のように、自分の心境から人生での遭遇まであらゆることについて書き込みしている。20年2月1日の彼の最後の投稿へのコメント数は膨大すぎて、「100万」としか表示されない。李の微博アカウントはまるで中国人にとっての「インターネット版嘆きの壁」のようだ。

「李文亮はコロナ禍時代における中国人の運命を象徴する人物。専門家としてウイルスへの警鐘を鳴らした結果、弾圧・訓戒処分され、最終的には発言の場を失って死んだ。そして、社会全体はその結果、大きな代償を支払うことになった」と、ある中国人のジャーナリストは語る。

プロフィール

風刺画で読み解く中国の現実

<辣椒(ラージャオ、王立銘)>
風刺マンガ家。1973年、下放政策で上海から新疆ウイグル自治区に送られた両親の下に生まれた。文革終了後に上海に戻り、進学してデザインを学ぶ。09年からネットで辛辣な風刺マンガを発表して大人気に。14年8月、妻とともに商用で日本を訪れていたところ共産党機関紙系メディアの批判が始まり、身の危険を感じて帰国を断念。以後、日本で事実上の亡命生活を送った。17年5月にアメリカに移住。

<トウガラシ>
作家·翻訳者·コラムニスト。ホテル管理、国際貿易の仕事を経てフリーランスへ。コラムを書きながら翻訳と著書も執筆中。

<このコラムの過去の記事一覧はこちら>

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