コラム

日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い

2025年12月07日(日)23時13分
マライ・メントライン(翻訳家、通訳、エッセイスト)
クマ、ヒグマ、ツキノワグマ、熊、緊急銃猟、熊害

ミュンヘンの博物館に展示されているブルーノの剝製(2023年) JACQUELINE MELCHERーDPAーREUTERS

<日本ではクマ問題が続くと「おいしい」人々がいる...一方、ドイツで凶悪なクマ「ブルーノ」が出現したとき、社会はどう対応したか?>

昨今、日本の世情(特にネット世論)は「外国人問題」と「熊害問題」で沸騰している。ちなみに熊害は「ゆうがい」と読むそうで、日本語変換ソフトでなかなか出てこないのがポイントだ。

それはそうと、この両問題を扱うネット言説で共通して目立つのは「危険で有害な異物の侵入を何とか食い止めねば」という主目的よりも、「危険で有害な異物を擁護する『意識高い系』のヤツらを徹底的にぶちのめしてやりたい!」という欲求が、ウラ動機として強力に機能している点だ。


事態が長期化していながら「見解」「対処」がなかなか落ち着かない理由の1つがこれだろう。特にポピュリスト的な立場から見ると、見解が落ち着いてしまうとむしろ困るのだ。なぜなら彼らは闘争と不安感を燃料に商売するからで、それが永続してくれればくれるほどおいしい。

つい先日(10月28日)も日本維新の会の市議会議員がSNSで「今すぐクマを絶滅させるべき」というお約束的な極論を放ち、案の定、大きな(というか相変わらずの)論争を起こしている。いわゆる初歩の炎上商法の成功例というべきだろう。

人間の生活圏に必要な「野生との境界」をどう設定・構築するか、という着地点に向けた冷静な議論が常に邪魔されることこそポピュリズムの問題だな、と深く感じてしまう。

プロフィール

外国人リレーコラム

・石野シャハラン(異文化コミュニケーションアドバイザー)
・西村カリン(ジャーナリスト)
・周 来友(ジャーナリスト・タレント)
・李 娜兀(国際交流コーディネーター・通訳)
・カン・ハンナ(歌人、タレント、国際文化研究家)
・トニー・ラズロ(ジャーナリスト)
・ティムラズ・レジャバ(駐日ジョージア大使)
・マライ・メントライン(翻訳家、通訳、エッセイスト)

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

インド経済の成長持続、需要回復で=中銀報告書

ワールド

EU、持続可能な航空燃料規則も緩和か 仏トタルCE

ビジネス

消費税「段階的廃止」明記へ、法人税上げで財源=神谷

ワールド

中国の若年失業率、12月は16.5%に低下 前月は
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:「外国人問題」徹底研究
特集:「外国人問題」徹底研究
2026年1月27日号(1/20発売)

日本の「外国人問題」は事実か錯誤か? 7つの争点を国際比較で大激論

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」の写真がSNSで話題に、見分け方「ABCDEルール」とは?
  • 2
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 3
    韓国が「モンスター」ミサイルを実戦配備 北朝鮮の核開発にらみ軍事戦略を強化
  • 4
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 5
    飛行機よりラク? ソウル〜釜山「110分」へ――韓国が…
  • 6
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 7
    【総選挙予測:自民は圧勝せず】立憲・公明連合は投…
  • 8
    「怖すぎる...」モルディブで凶暴な魚の群れに「襲撃…
  • 9
    サーモンとマグロは要注意...輸入魚に潜む「永遠の化…
  • 10
    宇宙人の存在「開示」がもたらす金融黙示録──英中銀…
  • 1
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 2
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の船が明かす、古代の人々の「超技術」
  • 3
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試掘の重要性 日本発の希少資源採取技術は他にも
  • 4
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 5
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 6
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 7
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 8
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 9
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で…
  • 10
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story