日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
ミュンヘンの博物館に展示されているブルーノの剝製(2023年) JACQUELINE MELCHERーDPAーREUTERS
<日本ではクマ問題が続くと「おいしい」人々がいる...一方、ドイツで凶悪なクマ「ブルーノ」が出現したとき、社会はどう対応したか?>
昨今、日本の世情(特にネット世論)は「外国人問題」と「熊害問題」で沸騰している。ちなみに熊害は「ゆうがい」と読むそうで、日本語変換ソフトでなかなか出てこないポイントだ。
それはそうと、この両問題を扱うネット言説で共通して目立つのは「危険で有害な異物の侵入を何とか食い止めねば」という主目的よりも、「危険で有害な異物を擁護する『意識高い系』のヤツらを徹底的にぶちのめしてやりたい!」という欲求が、ウラ動機として強力に機能している点だ。
事態が長期化していながら「見解」「対処」がなかなか落ち着かない理由の1つがこれだろう。特にポピュリスト的な立場から見ると、見解が落ち着いてしまうとむしろ困るのだ。なぜなら彼らは闘争と不安感を燃料に商売するからで、それが永続してくれればくれるほどおいしい。
つい先日(10月28日)も日本維新の会の市議会議員がSNSで「今すぐクマを絶滅させるべき」というお約束的な極論を放ち、案の定、大きな(というか相変わらずの)論争を起こしている。いわゆる初歩の炎上商法の成功例というべきだろう。
人間の生活圏に必要な「野生との境界」をどう設定・構築するか、という着地点に向けた冷静な議論が常に邪魔されることこそポピュリズムの問題だな、と深く感じてしまう。
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