<贅沢な消費と無理な貸し付けが原因だったかつての自己破産とは話が違う…貧困による自己破産が増加している厳しい現実>
国内で自己破産の件数が増加している。かつて個人の自己破産といえば、ブランド物の購入をきっかけとした多重債務など、過剰消費と金融事業者の無理な貸し付けが主な要因であった。だが近年は生活苦を原因とした破産が増えており、状況はより深刻になっている。多くの国民が中流生活を享受できた日本社会の基盤は根底から崩れており、今後は厳しい現実を前提にした制度設計が必要だ。
司法統計によると、2025年における個人の自己破産申立件数(速報値)は8万3100件と、24年の7万6309件を上回った。これは11年の10万510件以来の高い水準となる。
自己破産の件数が最も多かったのは03年で24万2000件に達していた。数だけを見ると今よりも深刻だが、実態は大きく異なる。当時も企業の業績悪化を背景に、リストラが増えていた時期ではあったが、自己破産に至る原因の多くは過剰な消費であった。ここに消費者金融事業者による無理な貸し付けが加わり、多重債務が社会問題になっていた。
これを解消すべく10年に改正貸金業法が施行され、利息制限法の上限(20%)を超えるグレーゾーン金利は消滅。事業者は年収の3分の1を超えて貸し出すことが原則不可能となり、自己破産は減少傾向となった。
だが、ここにきて自己破産が増えてきた背景は、インフレの進行と低賃金である。物価高は食料品など生活必需品の分野において顕著であり、低所得層を中心に物価上昇に賃金が追い付かず、毎月の生活に困窮する人が増えている。