日本は国際的に見て子どもの学力が高く、かつ格差も少ない国として知られる。OECDの国際学力調査「PISA 2022」の結果においても、「数学的リテラシーの平均得点が高い国の中では、日本はESCS(社会経済文化的背景)水準別に見た数学的リテラシーの得点差が小さい国の1つで、かつESCSが生徒の得点に影響を及ぼす度合いが低い国の1つ」とされる。
諸外国と比べて親世代の所得格差が小さいことに加え、全体を底上げするような学校教育(公教育)が行われていることが背景にある。令和の学校教育のコンセプトは、「誰一人取り残さない」だ(2021年1月、中央教育審議会答申)。
だが目を凝らしてみると、こういう日本においても、ひときわ不利な状況に置かれている層がある。1人親世帯だ。父母のいずれかがいない、多くは父親がいない母子世帯だが、このグループの子どもの学力平均点は、2人親世帯と比べると低い。

やや古いデータだが、<図1>はOECDの国際学力調査「PISA 2012」の結果だ。読解力の平均点だが、日本は1人親世帯の生徒は515点、2人親世帯の生徒は546点。他の主要国と比べて差が大きくなっている。親の状況を調べていない最近の調査では検証できないが、2012年の国際調査ではこういう結果になっている。
これは、両グループ間の経済格差を反映しているのだろう。家庭の所得や親の学歴による違いは「なだらかな」ものだが、1人親世帯と2人親世帯の間には「断層」のようなものが横たわっている。1人親世帯の多くは母子世帯なのだが、賃金の男女格差が大きいことに加え、子を預けてフルタイムで働こうにも預け先がない、という問題もある。2人親世帯を前提とした考え方も根強い。
18歳未満の子がいる世帯の貧困率を見ると、日本では2人親世帯が11.2%なのに対し1人親世帯では48.5%と、ものすごい開きがある(2018年、OECD統計)。これが子どもの学力格差に転化していることは、想像に難くない。