「警視庁公安部外事課」と聞いても、果たしてどんな仕事をしているのかはイメージしづらい。映画やドラマの場面が頭に浮かぶ可能性はなくもないが、それだって漠然としたものに違いない。
『警視庁公安部外事課――スパイ・テロを水面下で阻止する組織の実態』(勝丸円覚・著、光文社新書)の著者は1990年代に警視庁に入庁し、外務省に出向した3年間を除けば、通算でおよそ20年間にわたり警察官として勤務したという人物である。
その大半を公安部で過ごしたのだという。東京都を管轄する警察組織である警視庁の、公安部に所属する課だそうだ――と言われても、まだピンとこないかもしれないので、以下の説明を参考にしていただきたい。
外事警察の使命は、外国や外国人によって日本の安全が脅かされる事態を水際で阻止すること。つまり、テロリストがテロを企てたり、スパイが日本の国家機密や企業の機密データを盗み取ったりするのを事前に防ぐのが仕事である。(「はじめに」より)
そんな外事課の仕事が表に出ることは滅多にないため、私たちがピンとこなくても当然だ。事件が表面化する前に、水面下で処理しているのだから。逆に言えば、事件が多くの人に知られてしまったとしたら、外事課の仕事は失敗とみなされるわけである。
「公安」あるいは「公安警察」。名前こそ聞く機会はあっても、どのような組織かをきちんと理解している人は少ないだろう。
著者によれば公安警察とは、「日本の治安を維持するため日々任務を行なう警察のセクション」。その点は一般の警察と変わりないわけだが、一般の警察と公安との決定的な違いは「取り締まる対象が異なる」ことだという。