では、ローンを提供する側に問題はないのかというと、必ずしもそうとは言い切れない。生活に困窮する人が増えれば、当然のことながら国民の購買力が低下するため、企業としては収益を上げにくくなる。一部の事業者の中には、自動車ローンなどの分野で悪質な商品を提供するところも出てきており、自己破産問題の背後にはローン提供側のスタンスもあると考えたほうがよいだろう。
いずれにせによ日本社会の基盤が大きく変容していることは確実であり、私たちは今後、生活苦による自己破産が増えることを前提にした制度設計を進めていく必要がある。
高市政権は食品限定の消費減税の実施を検討しており、現時点では、その後に導入する給付付き税額控除までの「つなぎ」と位置付けている。
所得再分配の政策が必須
給付付き税額控除は制度設計にもよるが、低所得者への給付を通じて、高額所得者から低所得者へ所得を再分配する機能を持っている。食品限定の消費減税も低所得者対策になり得るものであり、これらの制度導入に当たっては、国民の困窮対策という部分をより重視していく必要があるだろう。
日本企業の改革が劇的に進む可能性が低いことに加え、中東情勢の悪化によってインフレと金利上昇がさらに進む可能性が高まっている。インフレは資産保有者に有利となる一方、金利上昇が進めば、住宅ローンを起点とした破産が増える要因にもなる。
国内の所得・資産格差が拡大することがほぼ確実であることを考えると、所得再分配機能を強化する政策もまた必須と言えるだろう。年金や医療など、社会保障についても、資産保有者や高額所得者の負担を増やす仕組みについて具体的に検討するタイミングに来ている。