※この記事は後編です。前編「中国軍には『根本的な欠陥』がある…ベネズエラとイランが変えた、台湾有事のシナリオとは」はリンクからご覧ください。
PHASE 3 制圧から持続的な攻撃へ
このフェーズで、締め付けは戦争へと転じる。CSISの封鎖シミュレーションでは、台湾は非軍事的な封鎖には耐えられるが、中国が潜水艦や機雷、限定的な軍事力を投入すると、状況は一気に悪化する。アメリカの介入がなければ、ウクライナのような形で外部から補給が続いたとしても、中国の潜水艦と機雷は海域に入る船舶の40%を破壊する。
それでも以前なら、アメリカは事態の安定化を優先し、船舶の護衛や部隊の増強はしても、中国本土への攻撃は自制すると考えられてきた。
しかしエピック・フューリー作戦以降、その前提が揺らいでいる。締め付け自体が事実上の戦争行為であり、締め付けを支えるシステムを圧倒的な暴力で攻撃できるとアメリカは自信を強めている。従って、アメリカが中国の軍事インフラへの攻撃に踏み切る判断ラインは、従来の想定よりはるかに早まる可能性がある。
つまり、介入の論理が変わっているのだ。即座に中国の軍事力の壊滅を試みるというより、標的は作戦システムになる。沿岸レーダー、防空拠点、ミサイル支援インフラ、指揮統制センター、海峡上空に出撃する空軍基地、対艦ミサイルを脅威たらしめるセンサー網を狙う。
イラン戦争が示すように、アメリカは「突発的な決断」から、こうした標的群の攻撃へと一気に移行することができる。
特に「キルチェーン」への攻撃は魅力的に映る。「空母キラー」と呼ばれる中国海軍の超音速対艦巡航ミサイルは、探知、捕捉、追尾、判断、伝達、攻撃という一連のプロセス、つまりキルチェーンに依存する。ミサイルの速さで勝負が決するのではなく、そのキルチェーンが電波妨害や欺瞞作戦、サイバー攻撃、物理的破壊に耐えなければならない。