PHASE 5 戦闘は数日ではなく数カ月間

一般的な見方は、ここでも問題を単純化している。台湾戦争は映画のように数日間で決着すると語られるが、多くの分析はそうはみていない。CSISによる大規模侵攻の研究「次の戦争の最初の戦い」は24のシナリオを検証した結果、中国の水陸両用侵攻は多くのケースで失敗し、代償は極めて大きいと結論付けた。

米シンクタンク、ジャーマン・マーシャル財団の分析も厳しい結論を導き出している。全面侵攻のシナリオでは、戦闘は数日ではなく数カ月続く。中国軍は上陸には成功するが、台湾海峡を越える増援と補給は台湾とアメリカの継続的な攻撃で大きな損害を受ける。

最終的に人民解放軍は約10万人を失って撤退する。台湾は軍人と民間人約5万人ずつを、アメリカは軍人約5000人と民間人約1000人を失う。日本も約1000人の軍人と約500人の民間人を失う。

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中国は決して弱くない。最新の航空機は高性能であり、ミサイル戦力も強力で、海軍は巨大だ。台湾をめぐる戦争は悲惨で不確実性が高く、エスカレーションのリスクも伴う。問題は、中国の軍事力を過大評価していることではない。それを装備の数や性能の積み上げとしてのみ捉え、最初の攻撃を受けても機能を維持できるかどうかを見ていない点にある。

国防安全研究院の呉も同意する。

「イランやベネズエラで見られた作戦上の摩擦は、中国の防衛体制の構造に根本的な欠陥があることを示している。その欠陥とは、システムとしての耐性の深刻な欠如だ」

もちろん、アメリカにも脆弱性はある。嘉手納基地もグアムのアンダーセン空軍基地も攻撃され得る。横須賀も同様だ。だがアメリカの相対的な強みは呉が言うとおり、最初の衝撃を受けた後でも戦いを継続できるネットワークを維持する能力だ。

アメリカの本当の目標とは
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