<公務員制度が深刻な危機に>
スターマー英労働党政権は発足以来最大の危機に瀕している。駐米大使に任命したもののエプスタイン疑惑で解任したピーター・マンデルソン容疑者=公職上の不正行為の疑いで逮捕、釈放=の適性審査を巡る政権内部の深刻な機能不全と倫理欠如が露わになった。
【動画】スターマーはマンデルソンの身元調査について知っていたこととは?
2024年12月 、キア・スターマー首相は労働党重鎮マンデルソン容疑者の駐米大使起用を発表。25年1月、オリー・ロビンズ外務事務次官は審査機関からマンデルソン容疑者は「ボーダーライン」と不承認にするよう勧告されたが、首相官邸の圧力を受け大使人事を押し切った。
「適性審査の詳細を首相に報告しなかった」と罷免されたロビンズ氏は4月21日の下院外務委員会で官邸の異常な実態をぶちまけた。官邸がマンデルソン容疑者をワシントンに迅速に赴任させるよう「絶え間ない圧力」をかけ、適性審査を「軽視する態度」を取ったという。
適性資格が認められる前から「高度な機密情報」にアクセス
官邸はマンデルソン容疑者が枢密顧問官、上院議員であることから審査自体が不要との立場を強くにじませた。適性資格が認められる前からマンデルソン容疑者は外務省への立ち入りや「高度な機密情報」を含むブリーフィングへのアクセスを認められていた。
官邸が「否認不可能な空気」を作り上げ、すでに米国政府と合意済みでチャールズ国王の承認も取っていたことから「マンデルソン大使」を外務省の事務方が覆すのは事実上不可能だったと英紙ガーディアンは指摘している。政治の暴走はマンデルソン大使人事だけに留まらない。
官邸がスターマー氏の側近マシュー・ドイル元広報部長に対してもデービッド・ラミー外相(当時)に隠したまま大使ポストを用意するよう画策していたことも暴露された。スターマー氏が掲げる「誠実な政治」は完全に崩壊したと英大衆紙デーリー・メールも断じた。