コラム

ヘドロをカネに変える中国地方政府の錬金術「三資改革」とは?

2025年11月28日(金)14時00分
ラージャオ(中国人風刺漫画家)/トウガラシ(コラムニスト)
中国

©2025 REBEL PEPPER/WANG LIMING FOR NEWSWEEK JAPAN

<土地バブルの崩壊で不動産収入が減った中国の地方政府が、新たな「錬金術」に乗り出した。「三資改革」と呼ばれるその政策は、ほぼ無価値に見える「資産」を前倒しで現金化する手法なのだが......>

中国の地方政府の主な収入源はこれまで土地使用権の売却だった。しかし現在は不動産不況で収入が急減し、土地に依存した資金調達は事実上成り立たなくなった。そんななか、地方政府の財政難を解決するための代替手段として称揚されているのが新政策「三資改革」だ。

ダム、鉱業権、ゴミ処理権、下水処理権、さらにはヘドロまで......こうした「公共の資源」が次々と資産としてラッピングし直され、取引対象となっている。地方政府はこの手法によって、将来数十年分の資源収入を前倒しで現金化し、差し迫った財政危機を乗り切っている。


事例を一つ紹介しよう。黒竜江省チチハル市依安県では、管轄するダムに堆積したヘドロを専門家に調査させた。その結果、「ヘドロには窒素・リン・カリウムなどが豊富に含まれ、有機肥料の原料として極めて価値が高い」という結論が示された。その後、政府は「公開入札」という形式を取りつつ、向こう20年のダムのヘドロ処理権を8億3900万元(約185億円)で政府が設立した新会社に取得させた。新会社は政府信用を利用して銀行から難なく融資を受けた。新会社は事業と資金を獲得し、地方政府は目先の財政危機をしのぐ現金を手にし、銀行も融資実績を上げることができた。

一見すると「一石三鳥」に見える。しかし、同じ手法が日本で行われれば、公金の不正管理や背任、詐欺などの罪に該当しかねない。ところが中国では、このような手法が「ヘドロを金に変える」と称賛され、「三資改革」の成功例として大きく取り上げられている。

プロフィール

風刺画で読み解く中国の現実

<辣椒(ラージャオ、王立銘)>
風刺マンガ家。1973年、下放政策で上海から新疆ウイグル自治区に送られた両親の下に生まれた。文革終了後に上海に戻り、進学してデザインを学ぶ。09年からネットで辛辣な風刺マンガを発表して大人気に。14年8月、妻とともに商用で日本を訪れていたところ共産党機関紙系メディアの批判が始まり、身の危険を感じて帰国を断念。以後、日本で事実上の亡命生活を送った。17年5月にアメリカに移住。

<トウガラシ>
作家·翻訳者·コラムニスト。ホテル管理、国際貿易の仕事を経てフリーランスへ。コラムを書きながら翻訳と著書も執筆中。

<このコラムの過去の記事一覧はこちら>

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