古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
パピルスから復活した「古代の知」の正体とは ArtMari-shutterstock
<その内容は、プラトンやアリストテレス、プルタルコスらの引用でしか知ることができなかった>
エジプト・カイロのフランス東方考古学研究所(IFAO)に保管されていたパピルス断片から、哲学者エンペドクレスの未公刊詩句30行が確認された。
【写真】古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」
リエージュ大学の発表によると、この断片に書かれていたのは、エンペドクレスの主著『ピュシカ(自然について)』の失われた一節。粒子の流出と感覚知覚、特に視覚に関する理論について記述されているという。
これまでプラトンやアリストテレス、プルタルコスら後代の引用を通じてしか接近できなかった思想を、原文のかたちで読みうる稀有な資料だ。
スタンフォード大学などによると、エンペドクレスは紀元前5世紀半ばに、シチリア島アクラガス(現アグリジェント)で活動した前ソクラテス派の哲学者・詩人。自然哲学と宗教思想を融合させた独特の思想体系を築いた人物だ。代表的著作『ピュシカ(自然について)』および『カタルモイ(浄めについて)』は散逸しているが、現存する断片や後代の引用から、万物が「火・空気・水・土」の四つの根源から成るとする理論を提示したことが知られている。さらにそれらを結びつける力として「愛(フィリア)」、引き離す力として「争い(ネイコス)」を想定し、宇宙の生成と変化を説明した。
ベルギーの科学メディア『デイリーサイエンス』によると、このパピルスは1941年ごろに収蔵された後、長く「小さな文学断片」としか認識されていなかった。しかし、2021年の調査で、字の特徴、行の組み方、訂正の痕跡などが「ストラスブールのエンペドクレス」と同じ巻子に属することが判明した。
さらに仏高等教育機関、コレージュ・ド・フランスでは2023年の段階で、この断片が『ピュシカ』の「流出物」と感覚知覚、特に視覚に関する箇所を含む可能性が議論されていた。
リエージュ大学は、この発見を「ビクトル・ユーゴーの著作が断片的引用でしか残っていない未来に、原版本の数頁が見つかるようなもの」と例え、その歴史的価値を強調している。
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