「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命防衛隊と消耗戦に
Iran’s Revolutionary Guard would fiercely resist a US ground invasion. History proves it
ホメイニの霊廟で行われたイスラム革命勝利47周年の式典に参加した革命防衛隊の士官候補生たち(2月1日、テヘラン) Morteza Nikoubazl via Reuters Connect
<指導層を殺され爆撃を受けてもIRGCは崩壊しない。歴史が示すその理由>
イラン革命防衛隊(IRGC)は長年にわたり、中東で強大な影響力を持ちながら、しばしば過小評価されてきた。IRGCは、約19万人の隊員に加え、準軍事組織バシジに推定45万人の予備役を抱える、イラン軍最大の組織で、政治・情報機関・経済の大部分も掌握している。
2月28日、イスラエルによる空爆でイランの最高指導者アリ・ハメネイ師が殺害された後、米国のドナルド・トランプ大統領は、免責と引き換えにIRGCに武装解除を呼びかけた。しかしIRGCはこれを拒否し、この1カ月でさらに多くの指導者を失いながらも、降伏の兆しは見せていない。
米国の地上部隊が中東に展開する中、重要なのは次の点を理解することだ。すなわち、1カ月にわたる米国とイスラエルによる大規模な爆撃、インフラの損傷、体制内部の亀裂、指導部の壊滅的打撃にもかかわらず、IRGCはイラン領土へのいかなる侵攻にも粘り強く抵抗する可能性が高い。その理由は歴史が示している。
民兵から通常戦力へ
IRGCは1979年のイラン革命の中で、ホメイニ師のイスラム共和国構想に忠実な学生らによる即席の街頭民兵から誕生した。王政打倒後に世俗共和国の樹立を目指した勢力に対抗し、誕生間もないイスラム革命政府を守る国家防衛組織となることを志向していた。
「革命の守護者」を自任するこの組織は、やがて最高指導者の親衛隊へと発展した。
創設初期には、シャー(国王)体制下の正規軍アルテシュによる反革命の試みを阻止したほか、世俗左派や他のイスラム系民兵など、対立する革命勢力との市街戦も展開した。
1980年にイラクの侵攻を受け、IRGCは正規軍と並ぶ前線の通常戦力として台頭した。1982年までにサダム・フセイン(当時のイラク大統領)の攻撃は撃退したが、戦争はさらに6年続いた。現在のIRGC指揮官の多くは当時、若い兵士や将校であり、西側が沈黙する中でイラクが化学兵器を使用した現場を直接経験している。
また、1980年にサダム・フセインがイランのクルド人反政府勢力を支援したことを受け、IRGCは対反乱作戦部隊としての役割も担うようになった。1980年代に始まった北西部のクルド人反乱から2000年代の南東部バローチ人の反乱に至るまで、さまざまな国内の民族蜂起を鎮圧してきた。
トランプは今回、クルド人を武装させてイラン体制と戦わせようとしたが、数十年にわたってこれらの反政府勢力と戦ってきたIRGCの強い反発を招く可能性が高い。
消耗戦に長ける軍隊
IRGCは地域の代理勢力を通じ、すでに米国やイスラエルとの長期的な消耗戦に関する豊富な経験を有している。
1982年、IRGCは国外遠征部隊「コッズ部隊」を創設した。エルサレムを意味するアラビア語に由来するこの部隊は、同年のイスラエルによるレバノン侵攻と、それに伴うパレスチナ解放機構(PLO)の排除を受け、レバノンでヒズボラの結成を支援した。
以後、IRGCはヒズボラなどの代理勢力を通じて、イスラエルと対峙できるようになった。18年間にわたり、ヒズボラは自動車爆弾などの戦術で占領下のイスラエル軍を消耗させ、イスラエルは2000年にレバノン南部から撤退した。この作戦はイスラエルの軍事的失敗と広く見なされている。
同様の戦術は、2003年の米国によるイラク侵攻後にも繰り返された。コッズ部隊が支援するカタイブ・ヒズボラなどのシーア派民兵は、即席爆発装置(IED)で現地の米軍を攻撃した。米国は2011年、「終わりなき戦争」からの脱却を迫られる形でイラクから撤退した。
レバノンとイラクにおけるコッズ部隊の代理勢力は、米軍の侵攻があった場合にIRGCが採用しようとするであろう戦術的な教訓を提供している。
その戦術の多くは占領軍を消耗させることを目的としており、一気に攻め込む高強度の地上侵攻を阻止するには不十分かもしれない。しかし、米国が(現時点で不明確な)戦略目標を達成できなければ、再び長期占領とゲリラ戦を主体とする低強度の戦闘に陥る可能性がある。IRGCの磨き上げられた消耗戦術が広範に投入されることになる。
「米国は前にも裏切った」
長年の対立の末に発生した2001年9月11日の同時多発テロは、米国とイランを一時的にアフガニスタンのイスラム過激派タリバンに対する共闘へと向かわせた。2001年末には、イラン領内に不時着した米軍パイロットへの支援を申し出るなど、イランは米国に接近した。
しかし2002年1月、ジョージ・W・ブッシュ大統領はイランをイラク、北朝鮮と並べて「悪の枢軸」と名指しし、対テロ戦争の標的とした。イランはこれで、米国に対する認識を急転回させることになった。
改革派のモハンマド・ハタミ大統領による関係改善の試みは頓挫した。3年後、最高指導者ハメネイの後押しを受けて、強硬派のマフムード・アフマディネジャドが台頭し、ともに核開発とIRGCの拡大を進めた。以後、IRGCはイスラム共和国における複数の安全保障機能を担う存在へと進化した。
その後も一度だけ、IRGCと米国の間に緊張緩和の機会が訪れた。2014年にコッズ部隊がイラクでイスラム原理主義勢力「イスラム国(IS)」と戦い、米国が空爆で支援した時だ。この協力はオバマ政権下で行われ、翌年には米国がイランと核合意を締結したが、トランプはその2年後の2017年に核合意を一方的に離脱した。
2019年2月上旬、IRGCの基地がISによるテロ攻撃を受けた際、同組織はこれを米国による秘密工作の結果と見なした。バローチ人やクルド人の反体制活動の高まりと並び、責任は米国とイスラエルにあると非難した。
IRGCの認識では、トランプ政権による現在の戦争は、1980年代以降、反イラン勢力や制裁を含む経済圧力を通じてIRGCを攻撃し、イスラム共和国を弱体化させようとする米国の体系的な取り組みの一部である。彼らにとってこれは、1979年のイラン革命以来続く対立なのだ。
イラン版ディープステート
この1カ月の米国とイスラエルによる空爆によって、IRGCが弱体化したことは疑いない。しかしその歴史は、独自の組織的アイデンティティを持つ将校たちが、たとえ指導部が殺害されても制度的な権力を守ろうとする傾向を示している。
そのため、ハメネイの死後、IRGCは体制の権力維持のために息子モジュタバを支持した。ハメネイの死を喜ぶ者と悲しむ者が国内で分かれる中でも、IRGCは結束して体制支持の姿勢を示した。政治体制が崩壊すれば、自らの特権的地位が失われるためである。
さらにIRGCは、ビジネスネットワークとしても機能するよう進化してきた。メディアから建設までサービス分野に広く関与し、経済の少なくとも20%を支配している。
一部の指導者がこうしたネットワークの運営における腐敗によって利益を得てきたことを踏まえれば、新たな政治体制の下で責任追及に直面することを恐れ、降伏という選択肢を受け入れない可能性が高い。
この特権的ネットワークは、いわばイラン版「ディープステート」を構成している。IRGCは単なる軍隊ではなく、独立した巨大な軍事組織であり、ハメネイ暗殺後もその権力を維持している。歴史とこれまでの紛争の経過を踏まえれば、降伏するよりも最後まで戦い続ける可能性が高いと考えられる。
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Ibrahim Al-Marashi, Adjunct Professor, IE School of Humanities, IE University; California State University San Marcos
This article is republished from The Conversation under a Creative Commons license. Read the original article.
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