コラム

自らの経験からうつ病の本質を突き止めた作家/In its grip...(~につかまれて)

2015年11月11日(水)11時35分

【今週のTED Talk動画】 Depression, the secret we share- Andrew Solomon http://www.ted.com/talks/andrew_solomon_depression_the_secret_we_share?language=en

登壇者:アンドリュー・ソロモン

 アンドリュー・ソロモンは長年、深刻なうつ病に悩まされ、自殺も考えたほどだった。そのうつ病体験を出発点に、作家であるソロモン氏は『The Noonday Demon』(邦訳は『真昼の悪魔――うつの解剖学』原書房)を2001年に発表している。このTED Talkでは、自らの経験を非常に詳細かつ感動的に語りながら、うつ病の現実について説明していく。また、ほかのうつ病経験者の言葉も引用し、うつ病の難しさを語る。

 とはいうものの、彼はユーモアを交えながら、うつ病は実は「普通」とあまりかけ離れていないのだと主張している。ソロモン氏によると、うつ病は「皆が持っている秘密」だ。うつ病対策はまだまだ理想的なレベルに達していないが、昔と比べると随分と進歩した。一度きりの人生をうつ病に苦しみながら過ごすより、うつ病から脱出するための努力をした方がいいと、ソロモン氏はうつ病患者にアドバイスしている。このTED Talkは、うつ病を経験した人とそうでない人の両方にとって興味深いものとなっている。

キーフレーズ解説

In its grip...
~につかまれて

(動画3:04より)

 何か悪いものが憑りついていて、そこからなかなか脱出できない状況を説明する表現です。ソロモン氏はうつ病だった時、このままではいけないと思いながらも、なかなか脱出できませんでした。まさに、You nonetheless are in its grip and unable to think of any way around it(それにもかかわらず〔うつ病に〕つかまれて、回避法を考えられない)でした。

 ここで、典型的な使用例を紹介します:

●Severe pain had her in its grip.
(彼女は深刻な痛みにつかまれている〔深刻な痛みが彼女を襲った〕)

●Arctic cold has the Northern U.S. in its grip.
(アメリカの北部は寒波に襲われている)

 より頻繁に出てくる形として、in the grip ofがあります。意味は同じですが、言葉の順序が違います。in the grip ofの場合、gripされるものが主語です。以下は主な使用例です:

●The country is in the grip of a deep recession.
(国が深刻な不況に襲われている)

●The city was in the grip of panic after a series of disasters.
(相次ぐ天災の後、町はパニックに襲われた)

プロフィール

ロッシェル・カップ

Rochelle Kopp 異文化コミュニケ−ション、グローバル人材育成、そして人事管理を専門とする経営コンサルタント。日本の多国籍企業の海外進出や海外企業の日本拠点をサポートするジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社の創立者兼社長。イェ−ル大学歴史学部卒業、シガゴ大学経営大学院修了(MBA)。『シリコンバレーの英語――スタートアップ天国のしくみ』(IBC出版)、『日本企業の社員は、なぜこんなにもモチベーションが低いのか?』(クロスメディア・パブリッシング)、『反省しないアメリカ人をあつかう方法34』(アルク)など著書多数。最新刊は『日本企業がシリコンバレーのスピードを身につける方法』(共著、クロスメディア・パブリッシング)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

赤沢再生相、ラトニック米商務長官と3日と5日に電話

ワールド

OPECプラス有志国、増産拡大 8月54.8万バレ

ワールド

OPECプラス有志国、8月増産拡大を検討へ 日量5

ワールド

トランプ氏、ウクライナ防衛に「パトリオットミサイル
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚人コーチ」が説く、正しい筋肉の鍛え方とは?【スクワット編】
  • 4
    孫正義「最後の賭け」──5000億ドルAI投資に託す復活…
  • 5
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 6
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 7
    「詐欺だ」「環境への配慮に欠ける」メーガン妃ブラ…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 10
    反省の色なし...ライブ中に女性客が乱入、演奏中止に…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 5
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 6
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 7
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 8
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とん…
  • 9
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 10
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 10
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story