冷戦時代の余剰プルトニウムを原発燃料に、トランプ米大統領が計画
トランプ米政権が、冷戦時代の核弾頭を解体して取り出したプルトニウム約20トンを、原子炉の燃料として米電力会社に提供しようと計画していることが分かった。写真はエネルギー省などが所管するサウスカロライナ州の核施設、サバンナリバー国立研究所。2012年7月提供(2025年 National Nuclear Security Administration/Handout via REUTERS)
Timothy Gardner
[ワシントン 22日 ロイター] - トランプ米政権が、冷戦時代の核弾頭を解体して取り出したプルトニウム約20トンを、原子炉の燃料として米電力会社に提供しようと計画していることが分かった。事情に詳しい関係筋の話のほか、計画をまとめた草案のメモから明らかになった。
米国がプルトニウムを商業用原子炉の燃料に転換する試みは、これまで試験的に短期間実施されただけだった。トランプ大統領は5月に署名した大統領令で、余剰プルトニウムを希釈して処分する既存の計画の多くを中止し、代わりに先進的核燃料として供給するよう指示していた。
同関係者によると、エネルギー省が近く産業界からの提案募集を発表する。計画はまだ草案段階にあり、詳細は今後の議論次第で変更される可能性があるという。
メモによると、プルトニウムは電力会社にほぼ無償で提供される。しかし、電力会社側は輸送のほか、燃料をリサイクル・処理・製造する施設の設計から建設、廃止までの費用を負担する。施設はエネルギー省の認可が必要となる。
ロイターはエネルギー省に事実関係を問い合わせたが、取材内容を確認も否定もしなかった。大統領令に基づき「プルトニウムを含む核燃料の国内供給網を構築・強化するための様々な戦略を検討している」とだけ回答した。
20トンのプルトニウムは、2000年にロシアと交わした核拡散防止の合意に基づき米側が処分を約束した、34トンの兵器級プルトニウムの備蓄から供出されるという。
もともとこの合意では、プルトニウムを原子力発電所で使用する混合酸化物燃料(MOX)に転換する予定だった。しかし、第一次トランプ政権は18年、500億ドル以上の費用がかかるととしてこの計画を破棄した。
5月に大統領令が出されるまで、米国の処分計画にはプルトニウムを不活性物質と混ぜ、ニューメキシコ州の実験的地下貯蔵施設「廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)」に保管する案などがあった。
エネルギー省はプルトニウムの埋設には200億ドルの費用がかかると見積もっている。
非営利の科学者団体「憂慮する科学者同盟」の物理学者エドウィン・ライマン氏は「この物質を原子炉燃料に変換しようとするのは狂気の沙汰だ。悲惨なMOX燃料計画の二の舞になる」と指摘。「より安全で、より確実で、はるかに安価なWIPPで希釈して直接処分する計画を堅持すべきだ」とした。
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