将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
Early Warning Sign for Children's ADHD Risk Discovered

Austin Pacheco-Unsplash
<最新研究や教育心理学者の示すところによると、就学前後、生後3年間、親自身の幼少期の経験などもカギを握るようだ──>
幼児期の発達の兆候が、将来的にADHD(注意欠如・多動症)を発症する可能性を示す手がかりになるかもしれない。この段階で適切なサポートができれば、子どもたちの将来に大きな違いをもたらす。
脳の配線(神経回路)はこの時期に形成され、注意力に関わるスキルの土台となる。この発達の過程を把握することで、将来ADHDを発症する可能性のある幼い子どもを早期に見つける手がかりになる可能性があると、カナダ・サイモンフレーザー大学(SFU)の研究者らは結論づけた。
彼らは、脳の構造と機能が「重要な」初期の数年間にどのように発達し、相互に作用するかを調査した。「都市にたとえるといい」と話すのは、論文の著者で、SFU神経科学・神経技術研究所(INN)創設者のランディ・マッキントッシュ氏だ。
「道路が脳の構造で、交通が脳の活動だ。この年齢の子どもにとっては、道路の整備具合、つまり脳の構造が特に重要になる。道路がうまく造られていなければ、交通はスムーズにいかない。それが、子どもが集中したり、課題を切り替えたり、注意をそらすものを無視したりする力に影響を及ぼす」
「遺伝、胎児期の影響、そして幼少期の経験が、脳の配線に影響を与える可能性がある」
「こうした要因の違いによって、注意力を支える脳内ネットワークの発達に差が生じる可能性も。今回の研究では、一般的な発達の中で注意力に関係するパターンを特定した。これは、今後ADHDに見られる逸脱や、それに影響する要因を研究する際の基準となる」とマッキントッシュ氏は語る。