将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
Early Warning Sign for Children's ADHD Risk Discovered
これまでの研究を踏まえ、構造的および機能的な脳のつながりの変化を同時に調べることで、健全な神経発達のパターンや、将来の行動傾向を予測する要因の理解が進むと、研究チームは指摘する。
今回の研究では、4歳から7歳までの子ども39人を対象に1年間追跡。MRIスキャンを用いて、脳内の構造的・機能的な接続性を測定した。参加した子どもたちは、持続的注意(集中力の維持)、選択的注意(気を散らす刺激を無視する力)、実行機能的注意(タスクの切り替え)の能力を評価する課題に取り組んだ。
研究チームは、グラフ理論を応用して分析を行った。これは、数学的な構造を用いて社会ネットワークなどを調べる手法で、今回は脳内の各領域がどのようにつながっているか、そしてその結びつきが時間とともにどう変化するかを解析するために用いられた。
その結果、脳内ネットワークが「仲の良い友達グループ」のように、特定の領域同士で強く結びつき、他のグループとの接続が少ない構造になっている場合、注意力に関する課題の成績が低くなる傾向が見られた。
「この年齢層は、ちょうど就学前後にあたり、新たな学習の負荷がかかる時期でもある」と話すのは、論文の著者でINN研究技術者のリアン・ロコス氏。
「この時期こそ、行動療法、学校での支援計画、ソーシャルスキルのトレーニング、保護者向けの支援など、早期介入が効果を発揮する重要なタイミングでもある」