コラム

ギネスが大流行? エールとラガーの格差って? 知られざるイギリスのビール事情

2025年07月05日(土)19時07分
ギネスビールとスプリット・ザ・Gチャレンジ

「スプリット・ザ・G 」チャレンジの謎の大流行でギネスが爆売れ BRYN COLTON/GETTY IMAGES

<アルコール製品の人気は驚くべき速さで予測不能に移り変わる>

最近、ビールに関する記事を書いたのだが、ビール大好きの僕にとっては興味深かった。

市場としてのビールやアルコール飲料全般にも興味を持っている。製品の人気は驚くべき速さで予測不能に移り変わり得る。流行の大部分は巧妙なマーケティングによってつくられるが、行動経済学の観点から見ても面白い。


例えば長い間、サイダー(リンゴ酒、シードル)はイギリスではイケてない飲み物だった。「田舎者の飲み物」「オヤジの飲み物」といった感じ。イングランドはサイダーの「本場」だけに、これは残念なことだった。

そして突然、アイルランド生まれのサイダー「マグナーズ」が市場を席巻したのだ。誰もかれもがこれを飲んでいた。革新的だったのは、第一に「アイリッシュサイダー」であることを主張してイングランドのダサいサイダーとは一線を画しているとしたこと。そして第二には、氷を入れて飲めると宣伝したことだ! どういうわけか、これは実に人々を熱狂させた。人々は見るからに感嘆しながら、パイントグラスを揺らしては氷をカチカチ鳴らしたがった。

一時期、「アルコポップ」がイギリス中ではやっていた。ソフトドリンクに近いお酒だ。味だけでなく、見た目やマーケティングもソフトドリンクっぽかった(鮮やかな青色で、コーラやレモネードのような缶や瓶入りで、いかにも「ティーン」っぽいブランド名で売られていた)。この流行は僕が日本に住んでいた数年の間に訪れ、消え去ったので、当時の様子は直接目にしていない。

プロフィール

コリン・ジョイス

フリージャーナリスト。1970年、イギリス生まれ。92年に来日し、神戸と東京で暮らす。ニューズウィーク日本版記者、英デイリー・テレグラフ紙東京支局長を経て、フリーに。日本、ニューヨークでの滞在を経て2010年、16年ぶりに故郷イングランドに帰国。フリーランスのジャーナリストとしてイングランドのエセックスを拠点に活動する。ビールとサッカーをこよなく愛す。著書に『「ニッポン社会」入門――英国人記者の抱腹レポート』(NHK生活人新書)、『新「ニッポン社会」入門--英国人、日本で再び発見する』(三賢社)、『マインド・ザ・ギャップ! 日本とイギリスの〈すきま〉』(NHK出版新書)、『なぜオックスフォードが世界一の大学なのか』(三賢社)など。

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