単なる「スシ・ビール」を超えた...「賛否分かれる」アサヒスーパードライが「ビールの本場」で愛される理由
ATSUSHI KATSUKI

COURTESY OF ASAHI GROUP HOLDINGS
<秀逸なマーケティングで海外市場を狙うアサヒビール。グループCEOの勝木敦志の海外進出戦略とは?>
ああ、素晴らしきイギリスのパブ。ずらりと並んだタップから、さまざまな味わいのビールが注がれる。
伝統的なイングランドエールのロンドン・プライド(London Pride)に、ブラック・キャブ・スタウト(Black Cab Stout)。イタリアのラガーのペローニ(Peroni)も人気を確立している。そして、遠く日本から来た比較的新顔のスーパードライ(Super Dry)。
さて、共通点にお気付きだろうか。これらのビールは全て、アサヒグループが所有するブランドだ。同社は外国の著名なブランドや醸造所を積極的に買収しながら、自分たちの代名詞であるビールを海外の新市場で広める、という大胆な戦略を展開している。
2021年から指揮を執る勝木敦志グループCEOは、日本最大手のビールメーカーからグローバルプレーヤーへとアサヒの変革を進めている。
10年前、イギリス人も日本料理店に行けばスーパードライを飲むことはあった。それが最近はロンドンのパブでオフィスワーカーに人気のプレミアムビールになっている。勝木の言うとおり、単なる「スシ・ビール」を超えた。
テスコなど大手スーパーの棚にアサヒの瓶入りビールが並び、サッカー・プレミアリーグの強豪クラブ、マンチェスター・シティなどを傘下に収めるシティ・フットボール・グループとパートナーシップ契約を結ぶ。
イギリスでアサヒやスーパードライを知らない若者は、今や貴重な存在だろう。