最新記事
メンタルヘルス

職場のメンタル不調の9割を占める「適応障害」とは何か?...「うつ病」との関係から予防策まで

2025年8月7日(木)17時00分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
目のクローズアップ写真

Jose A.Thompson-Unsplash

<真っ先に「うつ病」を疑う人が多いが、その背景を探ってみると、職場環境と自分の間の「適応」に問題がある場合が多い>

職場の環境と自分の適応がうまくいかない場合、「適応障害」に陥ることがある。

産業医・心療内科医の吉田英司は、「適応障害は基本的には療養すれば治るが、再発防止のために、原因分析をする必要がある。その際、どちらが悪いかという視点で物事を考えないことが大切だ」という――。

本記事では、吉田英司『一生健康に働くための心とカラダの守り方』(かんき出版)から一部を再編集して紹介する。

※第1回:こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
※第2回:かえって体調・メンタルが悪くなる人も...「休職の前に」知っておきたい「注意点」と役立つ制度とは?

◇ ◇ ◇

職場のメンタル不調の9割は適応障害

職場のメンタルヘルスと聞いて、1番に思いつく病名は「うつ病」でしょう。

外来でクリニックを初めて受診する患者さんからは「私はうつ病でしょうか?」との質問を多く受けます。現在の精神科や心療内科では、DSM-VやICD-11といった国際的な分類や診断基準があり、その分類から疾患を決定していきます。

ただ、実際に診察室で話を聞いていると、職場においてメンタルヘルス不調が起こる原因のほとんどは、職場の環境(業務量、業務の難しさ、人間関係)と自分(性格などの特性や、プライベートの状況)の適応がうまくいっていないことにあります。

適応がうまくできていないと、以下のようなことが起こります。

・布団に入ってもすぐに眠れない
・頭が働かなくなり、仕事が遅れる
・上司や同僚に対してイライラする
・生活が乱れてお酒の量が増える

この状況のまま時間が経過し、悪循環が進んでいくと、職場環境と現在の自分の適応がさらに悪くなります。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

相互関税、「15%」の認識に齟齬ないと米側と確認し

ビジネス

ドイツ自動車工業会、EU・米貿易協定の即時履行を要

ワールド

韓国・尹前大統領夫人の逮捕状請求、汚職などの容疑

ワールド

タイとカンボジア、ASEAN監視団受け入れに同意 
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を呼びかけ ライオンのエサに
  • 2
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの母子に遭遇したハイカーが見せた「完璧な対応」映像にネット騒然
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医…
  • 5
    イラッとすることを言われたとき、「本当に頭のいい…
  • 6
    バーボンの本場にウイスキー不況、トランプ関税がと…
  • 7
    【徹底解説】エプスタイン事件とは何なのか?...トラ…
  • 8
    大学院博士課程を「フリーター生産工場」にしていい…
  • 9
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 10
    【クイズ】1位は中国で圧倒的...世界で2番目に「超高…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 5
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 6
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 7
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 8
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 9
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 10
    メーガンとキャサリン、それぞれに向けていたエリザ…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 10
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中