JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「過剰な20万トン」でコメの値段はこう変わる
WHY THAT PRICE

安価な価格帯で店頭に並ぶ備蓄米は米価引き下げの打開策となるか ISSEI KATOーREUTERS
<備蓄米大放出でコメの値段は下がるのか? そもそもコメ高騰の真犯人は誰なのか? 26年産に向けて取るべき対応>
「令和のコメ騒動」の原因として、「流通構造の複雑さ」「農協やコメ卸(卸売業者)が価格高騰の黒幕だ」といった説があるようだが、それは完全な誤解だ。
【動画】コメ高騰の仕組みと今後の価格の行方を「経済評論家・加谷珪一」が徹底解説
コメの流通が複雑で非効率な面があるのは否定しないが、昨年から急に流通構造が複雑になったわけではない。需要に対して供給が不足したから価格が上がった。それ以上でもそれ以下でもない。
一般にコメの流通は「農家」から「集荷業者」「卸売業者」「小売り」という流れになる。集荷業者はほぼ農協を指すと考えていい。農家が農協に売り渡す価格が「概算金」、集荷業者と卸売業者の取引価格が「相対取引価格」、小売りが消費者に売る価格が「小売価格」だ。
非常にざっくりしたイメージだが、2022年頃まで60キロ当たりの概算金は1万~1万2000円程度、相対取引価格は1万2000~1万6000円程度、小売価格は2万4000円程度(5キロ当たり2000円)だった。
この価格水準はほぼ10年間変わらなかったため、物価・資材価格高騰の中で農家からは経営の厳しさを訴える声が大きかった。
足元の25年産の生産に向けて、複数の地域で農協グループが2万4000~2万7000円という概算金を提示している。この水準からすると、小売価格の見通しは5キロ4000~4500円以上になる。