コラム

コメ価格高騰で放映される連続ドラマ『進次郎の備蓄米』にうんざり

2025年06月07日(土)10時24分
西村カリン(ジャーナリスト)
小泉農水相

令和3年産などの備蓄米を食べ比べる小泉農水相(5月29日) REUTERS

<コメの価格高騰の理由を政府はきちんと説明していない。マスコミもこの問題をまともに追及せず、小泉農水相の発言を一方的に報じるだけ>

いつまで続くのだろうか? 毎日放映されている「備蓄米のテレビドラマ」は。数週間前から、ニュースを見ると必ず「コメ高騰」や「備蓄米」についての新しい情報が流れている。新聞の1面にも何度もなった。

農林水産相が江藤拓氏から小泉進次郎氏に代わり、ドラマの第2シーズン「2000円台の備蓄米」が始まると、前シーズンよりも一段とドラマチックな展開になった。マスコミは日々、小泉氏の動きや発言を報じ、世間の関心もますます高まっていく。


まるで新しいゲーム機が発売されるかのような大騒ぎ。小泉氏が令和3年産や令和4年産のコメを食べ比べる場面(写真、5月29日)など、ほとんど茶番劇としか思えない。私は記者としてこんな報道の仕方にものすごい違和感を覚えている。

言うまでもなく、国民にとってコメの価格は大変気になる問題だ。コメが買えないのは困るし、どの家庭にとっても、いつ、どこで、いくらでおいしいコメを手に入れるかが異常に重要な課題になっている。ただ私が驚いているのは、コメの状況の分析や説明が非常に少ないことだ。

一体なぜコメがお店に届かなくて、値段がこんなに高騰したのか。政府は「流通の問題であり、誰かが価格を上げる目的でコメを隠している」と言い続けた。そんなことはないと調査で分かったにもかかわらず、それ以外の説明をしない。つまり、日本の政府の姿勢は「知らん顔」だ。

プロフィール

外国人リレーコラム

・石野シャハラン(異文化コミュニケーションアドバイザー)
・西村カリン(ジャーナリスト)
・周 来友(ジャーナリスト・タレント)
・李 娜兀(国際交流コーディネーター・通訳)
・トニー・ラズロ(ジャーナリスト)
・ティムラズ・レジャバ(駐日ジョージア大使)

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

FRB議長候補、ハセット・ウォーシュ・ウォーラーの

ワールド

アングル:雇用激減するメキシコ国境の町、トランプ関

ビジネス

米国株式市場=小幅安、景気先行き懸念が重し 利下げ

ビジネス

NY外為市場=ドル対主要通貨で下落、軟調な雇用統計
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 3
    眠らないと脳にゴミがたまる...「脳を守る」3つの習慣とは?
  • 4
    「あのホラー映画が現実に...」カヤック中の男性に接…
  • 5
    「生きられない」と生後数日で手放された2本脚のダ…
  • 6
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...…
  • 7
    「ディズニー映画そのまま...」まさかの動物の友情を…
  • 8
    「稼げる」はずの豪ワーホリで搾取される日本人..給…
  • 9
    「よく眠る人が長生き」は本当なのか?...「睡眠障害…
  • 10
    ハイカーグループに向かってクマ猛ダッシュ、砂塵舞…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 3
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 4
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 5
    眠らないと脳にゴミがたまる...「脳を守る」3つの習…
  • 6
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...…
  • 7
    「あのホラー映画が現実に...」カヤック中の男性に接…
  • 8
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が…
  • 9
    「生きられない」と生後数日で手放された2本脚のダ…
  • 10
    「よく眠る人が長生き」は本当なのか?...「睡眠障害…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 3
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 4
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 5
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 6
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 7
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にす…
  • 8
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story