コメ価格高騰で放映される連続ドラマ『進次郎の備蓄米』にうんざり

令和3年産などの備蓄米を食べ比べる小泉農水相(5月29日) REUTERS
<コメの価格高騰の理由を政府はきちんと説明していない。マスコミもこの問題をまともに追及せず、小泉農水相の発言を一方的に報じるだけ>
いつまで続くのだろうか? 毎日放映されている「備蓄米のテレビドラマ」は。数週間前から、ニュースを見ると必ず「コメ高騰」や「備蓄米」についての新しい情報が流れている。新聞の1面にも何度もなった。
農林水産相が江藤拓氏から小泉進次郎氏に代わり、ドラマの第2シーズン「2000円台の備蓄米」が始まると、前シーズンよりも一段とドラマチックな展開になった。マスコミは日々、小泉氏の動きや発言を報じ、世間の関心もますます高まっていく。
まるで新しいゲーム機が発売されるかのような大騒ぎ。小泉氏が令和3年産や令和4年産のコメを食べ比べる場面(写真、5月29日)など、ほとんど茶番劇としか思えない。私は記者としてこんな報道の仕方にものすごい違和感を覚えている。
言うまでもなく、国民にとってコメの価格は大変気になる問題だ。コメが買えないのは困るし、どの家庭にとっても、いつ、どこで、いくらでおいしいコメを手に入れるかが異常に重要な課題になっている。ただ私が驚いているのは、コメの状況の分析や説明が非常に少ないことだ。
一体なぜコメがお店に届かなくて、値段がこんなに高騰したのか。政府は「流通の問題であり、誰かが価格を上げる目的でコメを隠している」と言い続けた。そんなことはないと調査で分かったにもかかわらず、それ以外の説明をしない。つまり、日本の政府の姿勢は「知らん顔」だ。