中国企業が米水源地そばの土地を取得...飲料水と国家安全保障に潜むリスクとは

農夫山泉の創業者、鍾睒睒の狙いは ORIENTAL IMAGEーREUTERS
<中国最大の飲料企業、農夫山泉による米ニューハンプシャー州での不動産買収が大きな波紋を呼んでいる>
中国を代表する大富豪、鍾睒睒(チョン・シャンシャン)が創業した同社は今年2月、ニューハンプシャー州内第2の都市ナシュアで9.3ヘクタールの土地と建物を評価額の4倍以上の6700万ドルで購入。すぐ近くには、一帯の水源と水道システムを管轄する半官半民のペニチャック・コーポレーションの浄水施設や貯水池がある。
農夫山泉は採水やボトリングの具体的な計画を示していないが、大量の水が使用されれば地元への飲料水供給に支障が生じると懸念の声が上がっている。しかも、この土地は空港や防衛関連施設、米連邦航空局(FAA)の管制センターにも近い。
今のところ、中国企業がこの地で不動産を所有することを明確に禁じる規定は連邦法にも州法にも存在しない。同州上院議員のレジーナ・バードセルは、外国人による軍事施設近郊の土地取得を禁じる法案を提案している。