最新記事
シリーズ日本再発見

父の急死後、「日本最年少」の上場企業社長に...サンリオ「創業者の孫」が見せた圧倒的な実力とは?

TOMOKUNI TSUJI

2025年07月18日(金)15時33分
レジス・アルノー(フランス・ジャポン・エコー編集長、フィガロ紙東京特派員)
ハローキティとマイメロディのぬいぐるみを抱くサンリオの辻朋邦社長

辻朋邦社長の下でサンリオは過去最高益に COURTESY OF SANRIO, PALAMATIC 90/GETTY IMAGES (BACKGROUND)

<多くの日本企業が抱える「弱点」のいち早く克服し、赤字から脱却。カワイイ王国2代目社長・辻朋邦は「七光り」ではない──>

ハローキティやシナモロールなど世界中で愛されるキャラクターを数多く生み出してきたサンリオが、共感を呼ぶと同時に、野心を併せ持ったキャラクターを生み出すとしたら、デザイナーを雇う必要はないだろう。辻朋邦社長の等身大のキャラクターをつくればいいのだから。

そのキャラクターに「逆境に打ち勝つガッツの持ち主」というストーリーで肉付けをしたい場合も、作家を雇う必要はない。辻の人生とキャリアを語れば足りるはずだ。


企業経営でも、アートの世界でも、そして政治の世界でも、親(や一族)の七光で名声を得た人物が、あたかも本物のリーダーのように振る舞う例は多い。そして、ぽっちゃりとして人の良さそうな外見の辻は、いかにも「跡継ぎのぼんぼん」に見える。

実際、2020年にサンリオの社長に就任したとき、辻が経営者として成功を収めると予想した人は、筆者を含めほとんどいなかった。サンリオは、カリスマ創業者がいつまでも皇帝のように経営を支配して、破滅の道をたどる企業の典型に見えた。

なにしろ、創業者の辻信太郎が孫に社長の座を譲ったのは92歳の時だ。跡取りに考えていた息子の辻邦彦が61歳で急死したため孫である辻にお鉢が回ってきたわけで、彼が血筋によってトップに就任したのは明らかだった。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

EU、対ロ制裁第18弾で合意 原油価格の上限引き下

ワールド

石破首相、米財務長官と会談 関税協議継続を要請

ビジネス

中国、外資に再投資奨励 対中投資の減少に対応

ビジネス

印政府シンクタンク、中国企業による投資規制の緩和提
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長だけ追い求め「失われた数百年」到来か?
  • 4
    アフリカ出身のフランス人歌手「アヤ・ナカムラ」が…
  • 5
    「異常な出生率...」先進国なのになぜ? イスラエル…
  • 6
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 7
    「どの面下げて...?」ディズニーランドで遊ぶバンス…
  • 8
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 9
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 10
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 8
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 9
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 10
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 4
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中