最新記事
日本企業

セーターから自動車まで「すべての業界」に影響? 日本発の「破壊的技術」...「スパイバー」人工繊維の可能性とは

KAZUHIDE SEKIYAMA

2025年7月10日(木)16時07分
ジェヨブ・S・クァック(韓国在住ジャーナリスト)
スパイバー(Spiber)代表の関山和秀

スパイバー代表の関山和秀 JEYUP KWAAK

<宇多田ヒカルとのコラボでも話題に。あらゆるものの生産方法を覆す山形県発の「人工タンパク質繊維」が100年後の地球を救う>

庄内地方の数千年前から続く水田の隣で、大きな夢が成長している。山形県鶴岡市に拠点を置くSpiber(スパイバー)は2007年の創業時からスタートアップ企業が直面する不確実性と戦いながら、着実に歩み続けてきた。

【動画】約6年ぶりの全国ツアーで「Spiber(スパイバー)」の人工繊維ドレスを着用した宇多田ヒカル

同社が手掛けるのはセーターから自動車まで、あらゆるものの生産を根本から変える可能性を秘めた世界最先端のテクノロジーだ。


社名は「スパイダー」と「ファイバー」から成る造語(起業のきっかけはクモの糸の研究だった)。同社はファッション業界の革命にとどまらない、はるかに大きなビジョンを描く。

スパイバーの開発する素材が世界に広まれば、環境負荷を最小限に製品を生産する循環型経済の実現にかつてなく近づくかもしれない。

「プロジェクトを立ち上げて20年、長期的で大きなインパクトを世の中に与えられることにぶれずに集中してきた」と、関山和秀代表は言う。「熱意を持ったメンバーが集まっていて、モチベーションはすごく高い」

スパイバーの「ブリュード・プロテイン」素材を生み出す技術、特にその汎用性は素人目には信じ難い。サトウキビを主原料に微生物発酵で作られるこの人工タンパク質繊維は生分解可能。アパレル向けでは、動物由来のウールやカシミヤを上回る細さや質感の糸や生地を製造できる。

建築
顧客の経営課題に寄り添う──「経営のプロ」の視点を持つ「異色」の建築設計事務所
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

関税の影響見極めは時期尚早、年末ごろに明確になる可

ワールド

イスラエル「イラン脅威なら再攻撃」、国防相が警告

ビジネス

アマゾン、AI新興アンソロピックに追加出資検討 数

ワールド

欧州議会、中国のレアアース輸出規制巡り決議 首脳会
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 2
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、「強いドルは終わった」
  • 3
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 4
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 5
    名古屋が中国からのフェンタニル密輸の中継拠点に?…
  • 6
    アメリカの保守派はどうして温暖化理論を信じないの…
  • 7
    犯罪者に狙われる家の「共通点」とは? 広域強盗事…
  • 8
    昼寝中のはずが...モニターが映し出した赤ちゃんの「…
  • 9
    アメリカを「好きな国・嫌いな国」ランキング...日本…
  • 10
    アルゼンチン経済にまさかの奇跡、インフレ克服と成…
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 4
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 5
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 6
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 7
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 10
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中