続投宣言の石破首相は理解できない、有権者が「現金給付」に嫌悪感を抱く理由

参院選で大敗後、続投を表明した石破茂首相(7月21日) PHILIP FONG/Pool via REUTERS
<昨年の衆院選に続き、参院選でも大敗を喫した石破政権。国民民主党や参政党の躍進からも、減税を有権者が望んでいるのは明らかだ>
7月8日コラム「変調を迎えた日本経済...参院選に『減税政策への追い風』が及ぼす影響は」 では、7月20日の参議院選挙の大きな争点は減税による財政政策の転換の是非であり、減税を掲げる野党に強い追い風が吹いている、と述べた。
筆者の見立てどおりに与党への逆風は強まり、石破茂首相が勝敗ラインとした参議院での自公での過半数割れに至るまで、議席を減らす敗北となった。
国政選挙の劣勢が予想されれば首相が自ら身を引いて新しいリーダーを立てるなど、これまでの自民党では、政権を保つ組織の自浄作用が働いていた。予想どころか現実に2回続けて国政選挙で大敗しても続投の意向を示した石破首相は、相当稀有な存在である。
自民党内での権力闘争で勝つことが石破氏の政治目標になっているから、多くの国民に自らが不人気であると自覚してもなお自民党総裁の権力を保ちたいようである。ただ、有権者の意向が重視される民主主義が機能する日本でこうした行動が容認されるのだろうか?
自民党が選挙公約で示した「2万円の現金給付」の評判はとても悪かったが、この政策についての反省の声が石破内閣からほとんど聞こえてこない。
過去3年にわたる名目GDPの拡大とインフレ課税の強まりで、政府の財政収支が先行して急ピッチで改善している。6月25日コラム「都議選の敗因を『誤解』する自民党、国難に直面する『重税国家』日本にいま必要なもの」で示したように、主要国の中で日本の財政収支の改善ペースは極めて早い。
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