強まる縁故資本主義...石破政権が「減税に一貫して否定的」な理由

石破政権はクローニーキャピタリズムの色彩が強まっている(5月21日) REUTERS/Issei Kato
<アベノミクス再稼働で高成長を目指せばトランプ関税への対策にもなるのに、なぜ日本は政策転換を行わないのか>
トランプ米政権は、4月2日に主要国への大幅な関税賦課を発表、さらに中国に対して100%を超える関税を打ち出したことで、株式市場は急落した。
その後、中国を含めた各国との交渉が始まり、関税賦課率が時限的に引き下げられたことを好感、米国を中心に世界的に株式市場は6月6日にかけて反発している。トランプ政権は株式市場の下落に配慮して関税政策を緩めている、との見方が金融市場で強まっている。
トランプ政権の関税政策の発言に株式市場は一喜一憂しているが、中国を含めて主要国に大幅な関税を賦課するトランプ政権の政策は変わらない、と筆者は予想している。関税交渉に各国は対峙しているが、「関税政策で米国経済は豊かになる」というトランプ氏らの思い込みは相当強いとみられるからだ。
基幹産業である自動車などに25%の関税が日本に今後賦課されれば、日本経済全体にとってかなり大きな足かせになるだろう。4月15日コラム「『増税原理主義者を打破する機会』トランプ関税は日本の国難、だが災い転じて福となすかもしれない」で述べたが、①米政府との通商交渉によって関税率を引き下げる、②日本経済を成長させる政策を行う、の双方が日本にとって必要な対応になると考えている。
「貿易赤字の縮小」を目標として関税を課すことは各国への逆風になるだけではなく、米経済自身も傷つける。トランプ大統領のメンツをたてる政治的理由に過ぎないのだが、日本経済の成長率が高まれば対米輸入が増えるのは明らかである。このため、アベノミクスの再稼働で高成長を目指せば、米国からの不当な高関税賦課を免れる可能性は相応に高まる。
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