コラム

強まる縁故資本主義...石破政権が「減税に一貫して否定的」な理由

2025年06月10日(火)18時50分
石破茂首相

石破政権はクローニーキャピタリズムの色彩が強まっている(5月21日) REUTERS/Issei Kato

<アベノミクス再稼働で高成長を目指せばトランプ関税への対策にもなるのに、なぜ日本は政策転換を行わないのか>

トランプ米政権は、4月2日に主要国への大幅な関税賦課を発表、さらに中国に対して100%を超える関税を打ち出したことで、株式市場は急落した。

その後、中国を含めた各国との交渉が始まり、関税賦課率が時限的に引き下げられたことを好感、米国を中心に世界的に株式市場は6月6日にかけて反発している。トランプ政権は株式市場の下落に配慮して関税政策を緩めている、との見方が金融市場で強まっている。

トランプ政権の関税政策の発言に株式市場は一喜一憂しているが、中国を含めて主要国に大幅な関税を賦課するトランプ政権の政策は変わらない、と筆者は予想している。関税交渉に各国は対峙しているが、「関税政策で米国経済は豊かになる」というトランプ氏らの思い込みは相当強いとみられるからだ。

基幹産業である自動車などに25%の関税が日本に今後賦課されれば、日本経済全体にとってかなり大きな足かせになるだろう。4月15日コラム「『増税原理主義者を打破する機会』トランプ関税は日本の国難、だが災い転じて福となすかもしれない」で述べたが、①米政府との通商交渉によって関税率を引き下げる、②日本経済を成長させる政策を行う、の双方が日本にとって必要な対応になると考えている。

「貿易赤字の縮小」を目標として関税を課すことは各国への逆風になるだけではなく、米経済自身も傷つける。トランプ大統領のメンツをたてる政治的理由に過ぎないのだが、日本経済の成長率が高まれば対米輸入が増えるのは明らかである。このため、アベノミクスの再稼働で高成長を目指せば、米国からの不当な高関税賦課を免れる可能性は相応に高まる。

プロフィール

村上尚己

アセットマネジメントOne シニアエコノミスト。東京大学経済学部卒業。シンクタンク、証券会社、資産運用会社で国内外の経済・金融市場の分析に20年以上従事。2003年からゴールドマン・サックス証券でエコノミストとして日本経済の予測全般を担当、2008年マネックス証券 チーフエコノミスト、2014年アライアンスバーンスタン マーケットストラテジスト。2019年4月から現職。『日本の正しい未来――世界一豊かになる条件』講談社α新書、など著書多数。最新刊は『円安の何が悪いのか?』フォレスト新書。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:戦闘で労働力不足悪化のロシア、インドに照

ワールド

アングル:フロリダよりパリのディズニーへ、カナダ人

ビジネス

NY外為市場=ドル横ばい、米CPI受け 円は週間で

ビジネス

米国株式市場=3指数が週間で下落、AI巡る懸念継続
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発される中国のスパイ、今度はギリシャで御用
  • 4
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 5
    50歳には「まったく見えない」...信じられないレベル…
  • 6
    川崎が「次世代都市モデルの世界的ベンチマーク」に─…
  • 7
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 8
    「ドルも弱い」なのになぜ、円安が進む? 「ドル以外…
  • 9
    毛沢東への回帰? それとも進化? 終身支配へ突き…
  • 10
    「賢明な権威主義」は自由主義に勝る? 自由がない…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 3
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 4
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 5
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 6
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 7
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 8
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 9
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 10
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story