コラム

原油高騰よりも米国経済・米株市場の行方を左右するもの

2026年03月17日(火)19時35分
3月15日に米メリーランド州の米軍基地を訪れたトランプ米大統領

3月15日に米メリーランド州の米軍基地を訪れたトランプ米大統領。イランとの戦争がエスカレートしている REUTERS/Kevin Lamarque

<イラン戦争によりWTI先物価格が100ドルに接近したが、現在はシナリオ分岐を見極める段階。戦争長期化のリスクが回避されれば、米国経済には追い風が吹くだろう>

2026年2月28日朝、米国とイスラエルがイラン国内の軍事・核関連施設への空爆を開始したのを受けて、3月初旬から原油価格に連動する格好で米国を含む株式市場は乱高下が続いている。

原油価格(WTI先物価格)が100ドル/バレルに接近して再び上昇する中、3月13日時点で米国株(S&P500)の年初来リターンは-3.1%まで調整した。現時点ではリスクオフ一色というよりも、シナリオ分岐を見極める段階にある。

イラン情勢を巡るさまざまな報道に、金融市場は一喜一憂している。

早期終戦の可能性を誇示するドナルド・トランプ米大統領の投稿が伝われば株高・原油安、ホルムズ海峡封鎖リスクが意識されれば株安・原油高となる。

ただ、報道を介してしか情報を取れない金融市場関係者は、イラン周辺で起きている軍事状況を正確に把握することすら難しいのが実情であり、今回の戦火がどう推移するかを予想することも困難である。

このため、筆者を含めた市場関係者の多くは、戦争を決断したトランプ大統領の「4~6週間で戦争を終える」という発言を前提に、イラン戦争の短期終結を見据えているとみられる。

戦争が長期に及び原油価格高騰が続けば、世界経済が減速し、エネルギー輸出国である米国にも悪影響が及ぶため、秋口の中間選挙を前にそうした政治決断は行わない。これがトランプ大統領らしいTACO(Trump Always Chickens Out/トランプはいつも怖気づく)行動になる。

もちろん、トランプ大統領の頭の中をすべて理解はできないが、仮に大した戦果がないとしても、一方的に「戦争に勝利した」と主張することは可能だろう。

プロフィール

村上尚己

アセットマネジメントOne シニアエコノミスト。東京大学経済学部卒業。シンクタンク、証券会社、資産運用会社で国内外の経済・金融市場の分析に20年以上従事。2003年からゴールドマン・サックス証券でエコノミストとして日本経済の予測全般を担当、2008年マネックス証券 チーフエコノミスト、2014年アライアンスバーンスタン マーケットストラテジスト。2019年4月から現職。『日本の正しい未来――世界一豊かになる条件』講談社α新書、など著書多数。最新刊は『円安の何が悪いのか?』フォレスト新書。

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