「映画賞の世界は、はっきり言って地獄だ」――ショーン・ペンが語る映画と権力の責任
SEAN PENN HAS OPINIONS
ペンは飾らない物言いで政治と社会と映画界を語り尽くした BRANTLEY GUTIERREZ
<映画をめぐる対話は、やがてその枠を超え、トランプやウクライナ戦争の話へと広がる。オスカー俳優が問い続けるのは、権力の責任だ――(インタビュー)>
ロサンゼルスの西に広がるビーチタウン、マリブ。美しい海沿いの街にあるショーン・ペンの自宅を訪ねると、彼は全く飾らない姿で現れた。
足元ははだし。午後を木工工房で過ごしたらしく、黒いペンキが手に飛び散っている。たばこのアメリカン・スピリット一箱を手に、居間のソファに腰を下ろす。そばでは愛犬のジャーマン・シェパードが、じっと控えている。
気取らない。地に足が着いている。靴を履かないという選択は、余計な緩衝材を一切挟まない彼の話しぶりそのものだ。
それは、ペンの今の哲学でもある。「家の骨組みをつくりたい。そして家そのものに驚かされたい」と彼は言う。「優れた脚本には最初から音楽が鳴っている。そういうものだ」
アカデミー賞主演男優賞に2度輝いたペン。3月15日に授賞式が行われる今年度は、『ワン・バトル・アフター・アナザー』(原題: One Battle After Another)で助演男優賞にノミネートされている。本誌米国版編集長ジェニファー・H・カニングハムとの対話で、彼はこの映画の「音楽」について語った。
本作の監督はポール・トーマス・アンダーソン。ペンが演じるのは、黒人過激派を追い詰めることに執念を燃やす偏見に満ちた将校、スティーブン・J・ロックジョー大佐だ。初めて脚本を読んだとき、ペンは10ページほどで笑いが止まらなくなった。その笑いは、やがて今の政治状況に重なっていく。
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