コラム

続投宣言の石破首相は理解できない、有権者が「現金給付」に嫌悪感を抱く理由

2025年07月22日(火)20時10分

非常識な対応で「行き過ぎた徴税」が起きている日本

一方で、生活必需品の価格上昇を受けて家計の可処分所得が目減りし、2024年半ばから個人消費にブレーキがかかっている。コメなどの生活必需品の価格上昇への対処として、租税体系を見直して家計所得を増やす必要がある、と多くの有権者が感じるのは当然である。

インフレに応じて税制が動かない非常識な対応で「行き過ぎた徴税」が起きているのだから、これを是正する減税を行えば、家計所得が高まり個人消費は回復に転じるだろう。

そう考えると、減税を拒否しながら、選挙直前に高齢者世帯を中心に「小遣い程度の現金給付」を行う政治家に有権者が嫌悪感を抱くのは当然だが、この点を石破政権は理解できないようだ。

一方で、自民党から離れた民意の受け皿として、「手取りを増やす夏」を訴えた国民民主党が、これまでさまざまな混乱があったにもかかわらず、昨年の衆議院選挙に続いて議席を大きく増やした。

参議院選挙のもう一つの目玉は参政党の躍進だったが、岸田・石破内閣が続きいわゆる岩盤保守層の票が流れたことが大きい。さらに、「消費税減税と社会保障の最適化により国民負担率に35%上限のキャップをはめる」との参政党の公約が、重税感の強まりにいら立つ有権者に響いたとみられる。

石破首相は21日に首相続投の意向を示したが、自らの職の確保に懸命になる自民党議員らによる自浄作用が、今後は働くだろうと筆者は予想している。国政選挙において2回連続で大敗するのも稀だが、選挙の応援演説を現場から断られる党首には、多くの自民党議員があきれ返っているのが実情だろう。

プロフィール

村上尚己

アセットマネジメントOne シニアエコノミスト。東京大学経済学部卒業。シンクタンク、証券会社、資産運用会社で国内外の経済・金融市場の分析に20年以上従事。2003年からゴールドマン・サックス証券でエコノミストとして日本経済の予測全般を担当、2008年マネックス証券 チーフエコノミスト、2014年アライアンスバーンスタン マーケットストラテジスト。2019年4月から現職。『日本の正しい未来――世界一豊かになる条件』講談社α新書、など著書多数。最新刊は『円安の何が悪いのか?』フォレスト新書。

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