最新記事
医療

その病院には「司令室」がある...「医療版NASA」がもたらす静かな革命とは?

Health Care, Rewired

2025年7月21日(月)10時10分
アレクシス・ケイザー(医療担当)
チルドレンズ・マーシー病院の「患者経過ハブ」

患者体験の質向上のため、GEヘルスケアのコマンドセンターを導入したチルドレンズ・マーシー病院の「患者経過ハブ」に集まるスタッフ COURTESY CHILDREN’S MERCY KANSAS CITY

<情報を一元化し、予測分析で効率的に対応...デジタル変革が救う命と「病院の未来」について>

2023年冬、ミズーリ州カンザスシティーにあるチルドレンズ・マーシー病院の職員は「急増期」に備えていた。ウイルス性感染症のインフルエンザやRSウイルスが多く発生するこの季節は、入院患者が増える。

だが冬が進むなか、ある違いが明らかになった。同病院のジェニファー・ワッツ副最高医療責任者(救急治療・入院サービス担当)によれば、先進医療を必要とする児童患者は絶えなかったが、スタッフは従来のように「不安を感じて」いなかったという。


違いを生んだのはテクノロジーだ。病院はその年、GEヘルスケアの「コマンドセンター」を導入していた。

治療実施状況のモニタリングや入院患者の経過追跡をデジタル化し、病床管理を最適化するツールで、いわば医療施設版のNASA管制センターだと、ワッツは本誌に語る。

アメリカ各地の病院が医療サービス需要の増加に直面するなか、チルドレンズ・マーシーは業務効率化や患者体験の質向上のため、世界で300以上の病院が利用するコマンドセンターを導入した。

ワッツによれば、このツールを活用して「患者経過ハブ」を構築するまで、院内業務は非効率的で時代遅れのままだった。情報が一元化されず、職員は日常的に掲示板にメモを張り出したり、ファクスでやりとりしていた。

対談
為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 セカンドキャリアの前に「考えるべき」こととは?
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

石破首相、続投を表明 対米関税交渉など「責任果たす

ワールド

イラン、イスラエル攻撃で破損した防空網復旧=報道

ビジネス

米財務長官、FRB議長解任反対理由をトランプ氏に説

ビジネス

中国レアアース磁石、6月対米輸出が急回復 前月比7
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「マシンに甘えた筋肉は使えない」...背中の筋肉細胞の遺伝子に火を点ける「プルアップ」とは何か?
  • 2
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人口学者...経済への影響は「制裁よりも深刻」
  • 3
    日本では「戦争が終わって80年」...来日して35年目のイラン人が、いま噛み締める「平和の意味」
  • 4
    父の急死後、「日本最年少」の上場企業社長に...サン…
  • 5
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失…
  • 6
    約558億円で「過去の自分」を取り戻す...テイラー・…
  • 7
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 8
    小さなニキビだと油断していたら...目をふさぐほど巨…
  • 9
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 10
    イギリスのパブで偶然出会った日本語ペラペラのイン…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは「ゆったり系」がトレンドに
  • 4
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 5
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 6
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 7
    「マシンに甘えた筋肉は使えない」...背中の筋肉細胞…
  • 8
    「想像を絶する」現場から救出された164匹のシュナウ…
  • 9
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 7
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 10
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中