最新記事
BOOKS

「腸内細菌は3歳までに決まる」...健康・老化・メンタルを左右する「40兆の微生物」の世界とは?

2025年7月11日(金)09時00分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
大腸

SewCreamStudio-shutterstock

<腸は「第二の脳」ではなく、もはや「もう1つの自己」...大腸と腸内細菌の世界をじっくり探求するのであれば、この1冊>

「あなたは、何を食べたかで決まる」とよく言われるが、健康の土台をつくる 腸内細菌の科学(日経BP)は、さらに一歩踏み込み、「あなたは、腸に棲む細菌で決まる」と問いかけてくる本だ。

筆者で、腸内細菌学や抗加齢医学を研究する京都府立医科大学の内藤裕二教授は、腸内細菌が人間の消化器疾患のみならず、老化や精神状態、免疫や肥満といった全身の問題に深く関わっていることを多数の最新研究とともに明らかにしていく。

そこからは、腸がもはや「第二の脳」どころか、「もう1つの自己」であることに気づかされる。


特に国内外の豊富な最新の研究事例からは、欧米で流行している「健康的な食生活」やその取り組みが、必ずしも日本人に合致しない可能性についても慎重につづられており、京都の京丹後地域や沖縄といった、日本国内の長寿地域の食生活と腸内環境についての最新研究とその事例も興味深い。

また、とりわけ注目したいのは、「腸内細菌が3歳までに、ほぼ決まる」という点だ。乳児期の食事や湯舟に浸かるといった生活習慣を含めた、衛生状態なども腸内フローラの「初期設計図」を形づくり、その後の健康に影響を及ぼしていくことが示されている。

これまで見過ごされがちになっていた、生育環境における腸内フローラに着目している点も本書のユニークな点だ。

そして、腸の状態がストレスやうつ、認知症などにも関わるという知見をもとに、精神医学や神経科学といった隣接分野も横断していく。

科学的でありながらも専門用語に頼らず、読者に届く言葉で丁寧に語りかける本書からは、研究から得た知見を社会と共有し、医学や科学の面白さを伝えたいという内藤教授の深い思いがうかがえる。

東京アメリカンクラブ
一夜限りのきらめく晩餐会──東京アメリカンクラブで過ごす、贅沢と支援の夜
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:カジノ産業に賭けるスリランカ、統合型リゾ

ワールド

米、パレスチナ指導者アッバス議長にビザ発給せず 国

ワールド

トランプ関税の大半違法、米控訴裁が判断 「完全な災

ビジネス

アングル:中国、高齢者市場に活路 「シルバー経済」
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界がうらやむ国」ノルウェーがハマった落とし穴
  • 4
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 5
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 6
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 7
    「人類初のパンデミック」の謎がついに解明...1500年…
  • 8
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 9
    20代で「統合失調症」と診断された女性...「自分は精…
  • 10
    トレーニング継続率は7倍に...運動を「サボりたい」…
  • 1
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 2
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 3
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 4
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が…
  • 5
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 6
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 7
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 8
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 9
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 10
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中