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その病院には「司令室」がある...「医療版NASA」がもたらす静かな革命とは?

Health Care, Rewired

2025年7月21日(月)10時10分
アレクシス・ケイザー(医療担当)

だがコマンドセンターの導入から7カ月間で、入院の遅延が86%削減され、退院遅延の削減率は24%に上った。施設を拡張せずに、内科外科患者300人分の収容能力を新たに生み出した形だ。

職員配属プラットフォームや電子カルテなど、既存のシステムを束ねるコマンドセンターは、病院の取扱件数や利用可能資源を包括的に、リアルタイムに可視化する。

「戦略と日常業務を連結する上で大きな力になる」と、GEヘルスケア・コマンドセンター部門を統括するブリー・ブッシュは本誌に語る。


ノースカロライナ州のデュークヘルス・ノーマン・レイク病院が、コマンドセンターを導入したのは19年だ。おかげで新型コロナのパンデミックの際には、陽性患者の居場所を的確に把握し、物流センターからPPE(個人用防護具)を配備することができた。

予測分析を行うコマンドセンターは、将来的な計画の策定にも貢献する。デュークヘルスは各部門の総需要や患者総数、疾患の緊急度を分析し、地元の人口動態を予測。

これに基づいて人員計画を検討し、割高な臨時派遣労働者への依存度を減らしているため、人件費をおよそ4000万ドル削減できたと、同病院の理事長兼COO(最高執行責任者)で、患者入退院を管理するクリスティー・バラズは言う。

傘下の病院を別個に扱わずに全体像を捉えることも可能になっていると、バラズは話す。おかげで、病院間の患者の移送が迅速化された。

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