コラム

大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ

2025年06月10日(火)19時57分
石野シャハラン(異文化コミュニケーションアドバイザー)

ZHOU YOU-VCG-REUTERS

<「超スマート会場の実現」をうたったのに実態はお粗末だが、訪日ツアー客への対応が特に問題だ、と実際にガイドを担当した筆者は指摘する>

最先端技術で全てが高度に組織化され、効率的・合理的でホスピタリティーに満ちた国。日本が初めての観光客の多くはこのイメージを持って訪日する。過去に世界を席巻した日本製家電や、SNSで誇張して伝えられるおもてなしのイメージのせいだ。

だが日本に住む外国人は、古いテクノロジー、組織化が苦手で効率は後回しの企業と行政、マニュアルどおりの対応しかできないサービス業、これが日本だと知っている。外国人観光客はほんの数日で、自分の持つ日本のイメージに裏切られるのだが、大阪万博は、素敵ではない日本の新しい見本になってしまっている。


多くの人が、今年の大阪・関西万博はひどいことになりそうだ、と予想していた。立地の問題、予算の大幅な超過、トップの不用意な発言、建設費の高騰と工事の遅れによる離脱国の増加など、ネガティブな報道はずっとあった。それでも無事に開幕してひと安心だと私も思っていた。しかし残念なことに来場者、特に外国人からの評判は惨憺たるものである。

今年の万博は「先端デジタル技術を用いて、未来を先取りする『超スマート会場』を実現」とうたっている。入場チケットや会場内マップ、パビリオン入場予約などを全てデジタル化し、アプリで手軽に操作できる、並ばない万博・資源を無駄にしない万博を目指したはずが、大変不便で不評だ。

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