最新記事
コメ

世界2位のコメ輸出国になれたはずなのに...日本農政の「不都合な真実」

A DRASTIC REFORM

2025年6月18日(水)17時36分
山下一仁(キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)
アメリカの大規模営農(ミシシッピ州)

高い単収を誇るアメリカの大規模営農(ミシシッピ州) RORY DOYLEーBLOOMBERG/GETTY IMAGES

<減反による米価支持は、もはや限界。国内での大増産に転じ、海外市場で勝負をかけるべき時だ。コメ輸出こそが、日本農業の活路となる>

OECD(経済協力開発機構)によると、日本の農業保護は手厚い上、納税者負担(直接支払い)の割合が少ない一方で、関税や価格支持などによる消費者負担の割合が約7割と圧倒的に高い。

欧米が価格支持から農家への直接支払いへ政策を変更している一方、日本の農業保護は依然として価格支持が中心だ。

特に、減反政策は巨額の補助金を農家に出して供給を減らし、米価を上げる政策だ。日本の水田の約4割を減反し、本来の生産量約1000万トンを650万トン程度に抑えている。

減反をやめて350万トンを輸出に回していれば、輸出量を調整するだけで国内の供給不足や米価の高騰は生じなかったはずだ。今回のコメ騒動は減反が巻き起こした人災である。


供給を増やし米価を下げようとするなら、減反を廃止して生産量を増やせばいい。転作支援などを含む約3500億円の減反補助金という負担は消え、消費者には米価の大幅な低下というメリットが生まれる。

米価が下がれば零細農家は稲作をやめて農地を貸し出すだろう。専業農家に限って直接支払いを行えば、その地代負担力(農地の借料を支払う力)が上がって農地は専業農家に集積される。

規模が拡大してコストが下がり、収益は上がる。兼業農家は本業での収入で生活しているので直接支払いをする必要はない。直接支払いに必要な負担は約1500億円で済むだろう。農業・農村に関わる全ての関係者が利益を享受し、減反廃止以上に米価が下がるというメリットがある。

ビジネス
「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野紗季子が明かす「愛されるブランド」の作り方
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米ADP民間雇用、12月は4.1万人増 予想下回る

ビジネス

米国やG7と連携、冷静・毅然に対応=中国輸出規制で

ビジネス

PEのクアンタム、ルクオイル海外資産に入札 シェブ

ビジネス

ユーロ圏消費者物価、12月2%に減速 ECB目標と
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    日本も他人事じゃない? デジタル先進国デンマークが「手紙配達」をやめた理由
  • 4
    「見ないで!」お風呂に閉じこもる姉妹...警告を無視…
  • 5
    トランプがベネズエラで大幅に書き換えた「モンロー…
  • 6
    「グリーンランドにはロシアと中国の船がうじゃうじ…
  • 7
    「悪夢だ...」バリ島のホテルのトイレで「まさかの事…
  • 8
    若者の17%が就職できない?...中国の最新統計が示し…
  • 9
    衛星画像で見る「消し炭」の軍事施設...ベネズエラで…
  • 10
    マドゥロ拘束作戦で暗躍した偵察機「RQ-170」...米空…
  • 1
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙」は抑止かそれとも無能?
  • 4
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 7
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 8
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 9
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 10
    アメリカ、中国に台湾圧力停止を求める
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中