世界2位のコメ輸出国になれたはずなのに...日本農政の「不都合な真実」
A DRASTIC REFORM

高い単収を誇るアメリカの大規模営農(ミシシッピ州) RORY DOYLEーBLOOMBERG/GETTY IMAGES
<減反による米価支持は、もはや限界。国内での大増産に転じ、海外市場で勝負をかけるべき時だ。コメ輸出こそが、日本農業の活路となる>
OECD(経済協力開発機構)によると、日本の農業保護は手厚い上、納税者負担(直接支払い)の割合が少ない一方で、関税や価格支持などによる消費者負担の割合が約7割と圧倒的に高い。
欧米が価格支持から農家への直接支払いへ政策を変更している一方、日本の農業保護は依然として価格支持が中心だ。
特に、減反政策は巨額の補助金を農家に出して供給を減らし、米価を上げる政策だ。日本の水田の約4割を減反し、本来の生産量約1000万トンを650万トン程度に抑えている。
減反をやめて350万トンを輸出に回していれば、輸出量を調整するだけで国内の供給不足や米価の高騰は生じなかったはずだ。今回のコメ騒動は減反が巻き起こした人災である。
供給を増やし米価を下げようとするなら、減反を廃止して生産量を増やせばいい。転作支援などを含む約3500億円の減反補助金という負担は消え、消費者には米価の大幅な低下というメリットが生まれる。
米価が下がれば零細農家は稲作をやめて農地を貸し出すだろう。専業農家に限って直接支払いを行えば、その地代負担力(農地の借料を支払う力)が上がって農地は専業農家に集積される。
規模が拡大してコストが下がり、収益は上がる。兼業農家は本業での収入で生活しているので直接支払いをする必要はない。直接支払いに必要な負担は約1500億円で済むだろう。農業・農村に関わる全ての関係者が利益を享受し、減反廃止以上に米価が下がるというメリットがある。