コラム

ギネスが大流行? エールとラガーの格差って? 知られざるイギリスのビール事情

2025年07月05日(土)19時07分

ギネスは偉大な「生き残り」の1つだ。これは、何十年にもわたってほぼ全世界で認識されているという独自カテゴリーのビール。

とはいえ、それでも流行とスランプはあった。僕が1988年に飲酒年齢に達したときは流行遅れのしろものだったが、90年代初頭には非常にクールな宣伝によって復活した。


その後、アイルランドが本当にクールともてはやされた90年代後半から2000年代初頭にかけて、アイルランド関連のあらゆるものが人々の関心をつかむことに成功した(北アイルランドの「和平プロセス」とリバーダンス、そしてアイルランド経済の好況が重なり、イギリス人がこの隣国を新鮮な目で見るようになったのだ)。

だが、これも永遠に続くことはできず、約10年前からはしばらくの間、売り上げが落ち込んだ。

ところが今では、ギネスは単に「復活」しただけでなく、ここ1年間では時に供給が滞るほど人気になった。製造して届けられるのよりも速いペースで完売してしまうのだ。当然ながら僕は興味をそそられたが、理由はどうやら「スプリット・ザ・G」と呼ばれるある種の「インターネットチャレンジ」だったようだ。

僕はそんな遊びとは無縁だが、どうやらこういうゲームらしい。ギネスを注文し(必ず「Guinness」のロゴが書かれたグラスで出される)、最初の一口でロゴのGの文字のちょうど真ん中に黒いビールの線がくるように飲めるかどうか、というもの(写真参照)。

このチャレンジの流行でつまり、若者がゲームをするためにギネスを注文するというだけでなく、最初の一口で無理やり結構な量を飲み込んでいるということになる。その後おそらくもう1杯、さらにもう1杯とチャレンジして夜中続けることだろう。

プロフィール

コリン・ジョイス

フリージャーナリスト。1970年、イギリス生まれ。92年に来日し、神戸と東京で暮らす。ニューズウィーク日本版記者、英デイリー・テレグラフ紙東京支局長を経て、フリーに。日本、ニューヨークでの滞在を経て2010年、16年ぶりに故郷イングランドに帰国。フリーランスのジャーナリストとしてイングランドのエセックスを拠点に活動する。ビールとサッカーをこよなく愛す。著書に『「ニッポン社会」入門――英国人記者の抱腹レポート』(NHK生活人新書)、『新「ニッポン社会」入門--英国人、日本で再び発見する』(三賢社)、『マインド・ザ・ギャップ! 日本とイギリスの〈すきま〉』(NHK出版新書)、『なぜオックスフォードが世界一の大学なのか』(三賢社)など。

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