コラム

2025年、ついにオアシス再結成......その真実を語ろう

2025年01月08日(水)17時00分

リアムはフロントマンとしてはいいが、どちらかと言えば「シャウト的」なボーカリストだ。ローリング・ストーン誌が2023年に発表した「歴史上最も偉大な歌手200人」のリストに入っていないのも当然だ。

ちなみにビートルズからはポールとジョンの2人がランクインしていて、ジョージも含めれば、オアシス随一のボーカリストを上回る歌手が1つのバンドに3人もいたことになる。


オアシスにはいい感じの曲が数曲あるが、史上最高だと思うオアシスの曲を4曲以上挙げろと言われたらほとんどの人は苦労するだろう。僕は個人的には「ホワットエヴァー」が好きだが、他の曲は「クラシック」というより「盛り上げソング」っぽい感じだ。

オアシスはかなり運がいい。彼らは優れたブリティッシュバンドがたくさんいた時代に広く受け入れられ、いわゆるブリットポップ時代を「定義」する存在になった。

同時代のバンド(スウェードやブラー、パルプ)と比べて抜きん出ているわけでもなく、ましてや他の時代の偉大なアーティストたち(ローリング・ストーンズやクイーン)に勝ることなどない。

でも、オアシスは多くの人々の人生のサウンドトラックになった。後に結婚する相手と出会った時に「ワンダーウォール」が流れていたことや、21歳のバースデーパーティーで友人たちと「リヴ・フォーエヴァー」を歌ったことを、人々は思い出す。

だからオアシスの音楽は人々の心を動かし、人々はあの時を追体験したくなる。唯一無二というよりありふれた存在のオアシスは、新たなビートルズではなくエッジの効いたダイアー・ストレイツなのだ。

96年8月10日、2日間で25万人を動員した伝説の野外ライブ、ネブワース公演Day 1「ワンダーウォール(Wonderwall)」

プロフィール

コリン・ジョイス

フリージャーナリスト。1970年、イギリス生まれ。92年に来日し、神戸と東京で暮らす。ニューズウィーク日本版記者、英デイリー・テレグラフ紙東京支局長を経て、フリーに。日本、ニューヨークでの滞在を経て2010年、16年ぶりに故郷イングランドに帰国。フリーランスのジャーナリストとしてイングランドのエセックスを拠点に活動する。ビールとサッカーをこよなく愛す。著書に『「ニッポン社会」入門――英国人記者の抱腹レポート』(NHK生活人新書)、『新「ニッポン社会」入門--英国人、日本で再び発見する』(三賢社)、『マインド・ザ・ギャップ! 日本とイギリスの〈すきま〉』(NHK出版新書)、『なぜオックスフォードが世界一の大学なのか』(三賢社)など。

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