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改めて問い直す「ヨーロッパ」とは何か...いま浮上する「本当の問題」とは?

「ヨーロッパ」とは何かが問われている(ブリュッセルのNATO本部) YVES HERMANーREUTERS
<ロシアの脅威の高まりを前に揺れ動き続け、女性政治家は影響力を増したが、ポピュリストも台頭>
この不安の時代に、ヨーロッパはいかに自らの利益を守るのか。その答えを探すには、「ヨーロッパ」とは何かを明確にする必要があるだろう。
地理的な定義には意味がない。そこにはモスクワも含まれるが、今のロシアは明らかに「ヨーロッパ」にとっての主要問題だ。ヨーロッパ=EUとも言えない。イギリス、スイス、ノルウェー、ボスニア・ヘルツェゴビナなどが除外されてしまう。「NATO加盟のヨーロッパ諸国」という意味でもない。その定義だとアイルランドやオーストリア、キプロスなどが入らない。
「反プーチンのヨーロッパ」こそがヨーロッパだとも言えない。一部の旧ソ連諸国には、ロシアのほうを向く指導者と西側を向く指導者の間で揺れ動く習性がある。ジョージアやベラルーシ、そしてもちろんウクライナもそうだ。
「ヨーロッパ」の意味は流動的で、いささか不明瞭かもしれないが、私たちは直感的に知っている。「ヨーロッパ」とは、プーチン政権が軽蔑する価値観を共有するヨーロッパの民主主義国家のこと。すなわち、普通のヨーロッパ市民が「グッドガイ(善玉)」と見なす国々のことだ。
ここでようやく本当の問題が持ち上がる──ヨーロッパはどのように協力して安全保障上の脅威に立ち向かうのか。
EUは軍隊を持っていない。その構造を大幅に見直し、連邦の権限を考えられないほど拡大しなければ、軍隊を創設することもできない。
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