コラム

改めて問い直す「ヨーロッパ」とは何か...いま浮上する「本当の問題」とは?

2025年05月08日(木)14時00分

だが、役割を果たせないということではない。EUはウクライナに軍事支援を行い、ロシアに対して懲罰的な経済制裁を発動し、ロシアの個人にも制裁を加えた。

ただしアメリカが支援をやめれば、組織的にも運用的にもEUに大きな問題をもたらすことは間違いない。ヨーロッパの「大国」は、そこで生じるギャップを埋めようとしている。核保有国のフランスとイギリスは相違点を脇に置き、統一戦線を形成している。ロシアの脅威に強い態度を示してこなかったドイツも、明らかに変化しつつある。


しかし、まだ道のりは遠い。歴史的にNATOはアメリカ主導の同盟であり、加盟国は対等ではなかった。

新しいNATOになる可能性はある。中立国だったフィンランドとスウェーデンがロシアのウクライナ侵攻を機に加入し、NATOは強化された。旧東欧圏のポーランドは軍事費をGDPの4.7%まで増やし、「垂範型リーダーシップ」を示した。

「現状」とは永遠にあらず

プーチンの帝国主義的野心の次の標的になり得る旧ソ連諸国のバルト3国は、ロシアの脅威について「道義的な声」を上げてきた。2021〜24年にエストニア首相を務めたカヤ・カラスは、ロシアとドイツを結ぶ海底天然ガス・パイプライン「ノルドストリーム2」は地政学的な事業だとし、暗にドイツがロシアを融和していると批判した。

プロフィール

コリン・ジョイス

フリージャーナリスト。1970年、イギリス生まれ。92年に来日し、神戸と東京で暮らす。ニューズウィーク日本版記者、英デイリー・テレグラフ紙東京支局長を経て、フリーに。日本、ニューヨークでの滞在を経て2010年、16年ぶりに故郷イングランドに帰国。フリーランスのジャーナリストとしてイングランドのエセックスを拠点に活動する。ビールとサッカーをこよなく愛す。著書に『「ニッポン社会」入門――英国人記者の抱腹レポート』(NHK生活人新書)、『新「ニッポン社会」入門--英国人、日本で再び発見する』(三賢社)、『マインド・ザ・ギャップ! 日本とイギリスの〈すきま〉』(NHK出版新書)、『なぜオックスフォードが世界一の大学なのか』(三賢社)など。

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