コラム

「移民大国」日本で我々は「なれ合い」つつ滅びるのか...ユニクロ柳井氏の発言から考える

2024年12月11日(水)14時32分
石野シャハラン(異文化コミュニケーションアドバイザー)

彼のいら立ちも分からないではないが、これがイラン人や中国人だったら喜んで同胞の力になるだろう。日本は少子化で国内市場も小さくなり、企業は必然的に海外に出ていかなければならない。独立独歩の姿勢も素晴らしいが、外資企業や国外で成功するため、そして翻って日本社会が繁栄するためにも、日本人同士の助け合い、融通し合い、お互い様精神は必須だ。

だが、柳井氏の「日本人のなれ合い」は私も大いに感じるところがある。日本は行政でさえも日本人しか相手にしていない。私はインバウンドの旅行社の仕事も手がけているが、残念ながら外国人が無許可でインバウンド客相手の旅行業務に携わっている例が多く見られる。つまり行政によって監督されず、集客や手配に関する法律やルールは無視してやりたい放題なのである。


白タクや白バスも同様で、運転者の最低賃金や労働時間制限も守らず、極端に安い料金で集客するため、外国の旅行エージェントは無許可の旅行社や白タク白バスを選ぶ。日本人はインバウンドのおかげで経済的に潤っていると思っているだろうが、その少なくない利益が不法に外国人にかすめ取られていることを知ったほうがいいだろう。

この事態は一見、日本人だけを厳しく律しているようでいて、ルールが通じやすい仲間うちだけで社会を回そうとする「なれ合い精神」の発露といえないだろうか。

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