コラム

富裕層が「流出する国」、中国を抜いた1位は...「金持ちに厳しい」税制改革で大損した国

2025年06月26日(木)18時56分
富裕層の流出国と移住先

oneinchpunch/Shutterstock

<英ヘンリー&パートナーズがまとめた「長者移住報告書」によれば、ミリオネアの移住先として人気だったのはUAEやスイスなど。流出が多かったのは?>

[ロンドン発]今年は過去最多となる14万2000人のミリオネアが移住、富裕層優遇税制を打ち切った労働党政権の英国は1万6500人の長者を失い、最大の負け組になったことが海外での投資家ビザ取得を富裕層に助言する英ヘンリー&パートナーズのまとめで分かった。

6月24日発表された同社の2025年版長者移住報告書によると、2020年のコロナ禍で1万2000人に落ち込んだ長者(流動資産100万ドル以上)の移住は年々回復し23年12万人、24年13万4000人、今年14万2000人と順調に増え、来年16万5000人になると予測されている。

上位の移住先はアラブ首長国連邦(UAE)、米国、イタリア、スイス、サウジアラビア。長者は移住先の国に富を持ち込むため外貨収入となり、現地の株式市場を活性化させる。移住する富裕層の15%は起業家や創業者で、移住先で事業を立ち上げて雇用を創出するケースが多い。

移住先として富裕層に人気の高い8カ国

富裕層流入の恩恵は「セーフヘイブン(安全な避難先)8」と呼ばれるスイス、シンガポール、UAE、マルタ、モナコ、ニュージーランド、オーストラリア、モーリシャスで特に顕著だ。移住先として人気の高い国のほとんどは相続税を課していない。イタリアの相続税率は4%。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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