<艦船を持たないウクライナ軍も、海上ドローンや長距離攻撃で黒海艦隊の3分の1を撃破・無力化している>
[ロンドン発]英海軍のグウィン・ジェンキンス第一海軍卿(海兵大将)はシンクタンク、イギリス王立防衛安全保障研究所(RUSI)での講演で「ハイブリッド海軍」構想について語るとともに、北方諸国との新たな多国間海洋協力枠組み「北方諸国海軍イニシアチブ」を宣言した。
【動画】第一海軍卿初の公の場で、自身の海軍構想を語るジェンキンス
ジェンキンス大将はウクライナ戦争が変革の必要性を決定付けたと述べた上で、有人艦艇と無人・自律型プラットフォームを組み合わせた艦隊「ハイブリッド海軍」を提唱する。水上・水中・航空の各領域で従来型艦艇がドローン(無人機)や最先端兵器と連携して作戦を遂行する。
「指揮し、戦い、勝利する」――2029年までに戦闘即応態勢を確立するこの計画は「生き残る」だけでなく「勝利する」ための青写真と位置付けられる。艦船を一隻も持たないウクライナ軍は海上ドローンや長距離攻撃でロシア海軍黒海艦隊の3分の1を撃破または無力化した。
より高価で大型のプラットフォームが必要との思考に終止符
陸上でもドローン攻撃が戦場の死傷者の90%以上をもたらすに至っており、戦局を変える重要兵器となった。「ますます高価でより大型のプラットフォームが必要という思考を終わらせなければならない」として調達単価の引き下げと量産体制の確立を優先している。
戦略国防見直し(SDR)ではシステム開発から配備までの期間を3カ月に短縮する方針が掲げられた。年内に最初の無人水上艦を北大西洋の作戦に投入、2年以内に無人エスコート艦を有人艦艇と並走させ、来年には艦上運用可能なジェット推進型ドローンを実用化するという。
イギリス企業と提携するプロジェクトではすでに第一陣の無人艦艇20隻が海兵隊に引き渡された。「ハイブリッド海軍」は北大西洋とハイノース(北極圏)に重点を置く。ロシア艦艇によるイギリス領海への侵犯は過去2年で約3割増えており、潜水艦活動が最大の懸念となっている。