<社会的移動性の低下が、所得分布の最底辺と最上位で固定化を引き起こしている>

[ロンドン発]英イングランド東部の港町グリムズビーはかつて世界最大の漁港として繁栄したが、時代の変化、産業の衰退とともに深刻な苦境に立たされている 。下位3%の英国で最も取り残されたこの地域について英チャンネル4ニュース(4月29日付)が取り上げていた。

【動画】深刻な苦境に立たされれるグリムズビーの現状

経済的困窮だけではない。教育システムが「白人労働者階級」と呼ばれる若者たちのニーズを満たすことに失敗し、彼らが暮らす地域の伝統や文化、目の前の現実から乖離してしまっている。 現在の教育現場で若者たちの不登校や教育への不参加が深刻化していることを伝えていた。

学校に通わない理由として子どもたちは「授業が退屈である」「何も学べない」と語り、自分自身を「学校で成功できない存在」と決め込んでいる。教育の自由度を高めるアカデミー化を含む現在の学校改革やアカデミック偏重の教育課程は一部の成績上位層に恩恵をもたらした。

地域の伝統や文化から遠ざかる状況を作り出す

しかし白人労働者階級の若者たちにとっては地域の伝統や文化から遠ざかる状況を作り出している。若者たちの閉塞感の背景にはかつて地域を支えた産業の衰退がある。祖父や父が漁師として働いてきたグリムズビーの歴史に誇りを持っていても若者にはその選択肢は残されていない。

貧困がもたらす障壁も無視できない。日々の食料を貧困家庭に提供する慈善団体フードバンクを訪れる親たちは200ポンドの制服代を捻出できず、雨の日でも服を乾かす乾燥機を買えない切実な状況に置かれている。それが貧困家庭の子どもたちを学校から遠ざけている。

英国政府の独立した諮問機関、社会移動委員会は昨年12月の報告書で「英国は社会的移動性において悲惨でも卓越しているのでもなく、国際的な順位表があれば中位に位置する」と指摘している。親と異なる職業階級に就く割合は主要西欧諸国と同程度の水準だ。

機会格差を縮小する最善策
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