最新記事
心理学

社会的成功は「表情の豊かさ」が9割? 「初の大規模研究」でわかったこと

Psychologists Reveal Simple Trick To Become More Likeable

2024年8月21日(水)15時00分
パンドラ・デワン(科学担当)
笑顔の女性2人

もめ事を解決したいときにも「表情力」を活用するのが効果的かも JACOBLUND/ISTOCK

<表情が豊かな人は好感度が高く、周囲との関係を築きやすいことが心理学の最新研究で判明>

第一印象をよくして社会的にも成功するための秘訣は何だろう? この点に関する興味深い研究が、学術誌サイエンティフィック・リポーツに発表された。英ノッティンガム・トレント大学の研究者らによれば、その鍵を握るのは表情の使い方かもしれない。

研究は2つのパートに分けて行われた。パート1では52人の参加者と事前に決められた質問項目を基にビデオ通話を行い、自然な反応や表情を録画。


次に同じ参加者に「友好的に見えるようにする」「嫌われないように異論を表明する」などの目標を達成するため、さまざまな表情をつくって録画するよう依頼した。

その後、176人のグループが録画を見て、表情の読み取りやすさと好感度を評価した。

パート2では、互いに面識のない1456人の参加者に自由なビデオ通話を行わせ、相手の好感度を評価するよう依頼。その記録を研究チームが分析した。

【動画】分析に使われた実際のビデオ通話の映像

すると、どちらのパートでも、最も表情の豊かな人が最も好感度が高いと評価された。

「この結果は、表情の豊かな人のほうがどういう相手なのかが予測しやすいことに関係している可能性がある」と、論文の筆頭執筆者でノッティンガム・トレント大学研究員(心理学)のエニャ・カバナは言う。

「表情を通じて相手の気持ちを細かく読み取れたほうが、社会的な関係を築きやすいということだろう」

さらにカバナは今回の研究について、表情が現実世界のやりとりに及ぼす影響を分析した初の大規模な試みだと付け加えた。「研究結果は、表情が社会的にポジティブな結果と関連していることを示している。もめ事の解決にも表情が大きな影響を及ぼす可能性がある」と、カバナは言う。

表情の豊かな人とそれほどでもない人がいる理由は、はっきり分かっていない。ただし、顔の表現力が決まるのは幼少期である可能性がある。

さらには、いくつかの性格特性とも関係しているようだ。「この研究は、表情の豊かな人は感じがよく、外向的で神経質でもあるらしいことを示している」と、カバナは言う。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

過度な為替変動に警戒、リスク監視が重要=加藤財務相

ワールド

アングル:ベトナムで対中感情が軟化、SNSの影響強

ビジネス

S&P、フランスを「Aプラス」に格下げ 財政再建遅

ワールド

中国により厳格な姿勢を、米財務長官がIMFと世銀に
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 3
    ギザギザした「不思議な形の耳」をした男性...「みんなそうじゃないの?」 投稿した写真が話題に
  • 4
    大学生が「第3の労働力」に...物価高でバイト率、過…
  • 5
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 6
    【クイズ】世界で2番目に「リンゴの生産量」が多い国…
  • 7
    【インタビュー】参政党・神谷代表が「必ず起こる」…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 10
    ニッポン停滞の証か...トヨタの賭ける「未来」が関心…
  • 1
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 4
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 5
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 6
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 7
    メーガン妃の動画が「無神経」すぎる...ダイアナ妃を…
  • 8
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 9
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 10
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 10
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中