コラム

なぜ日本人は、こんなに白人好きなのか...戦争の過去や差別は気にならない?

2021年04月23日(金)19時02分
石野シャハラン
日本人と白人(イメージ)

itakayuki-iStock

<イラン出身の筆者が持ち続けてきた素朴な疑問。日本だけでなく韓国や中国にも共通する欧米白人志向の不思議>

私は来日してからずっと不思議に思っていた。日本人はなぜか欧米、特に米英仏伊の4カ国にすごく詳しい。私はワシントンがどこなのか、地図上で指し示すことができない。そう言うと結構な割合の日本人が驚く。そんな基本的なことをなぜ知らないの? と言わんばかりに。

そういう人はアメリカの大体の州の場所を知っている。ヨーロッパについても同様だ。子どもを北米やヨーロッパに留学させる。夏休みにはハワイに行く。そしてますます欧米に詳しくなる。それがたとえ表層的な理解だとしても。

私は、イラン人からもよく質問される。日本人はなぜそんなにアメリカが好きなのか。第2次大戦で戦い、原子爆弾を落とされた国なのに、と。私の答えは、戦後の対日本政策がうまくいったからではないか、である。外交的にも社会文化的にも、親米化していく土壌が上手に育まれたのだと。

トランプ好き、中国嫌い、メーガン嫌い

それでも、親欧米ぶりがちょっと度を越しているのではないか、と思う時がある。例えば日本人のトランプ前米大統領好き・中国嫌い。トランプの主張や政策に懐疑的なネット記事が出ると、陰謀論を信じる人のトランプ擁護や、過激な米国一国主義を支持するコメントばかりがズラッと並ぶ。

またヘンリー英王子とメーガン妃の騒動でも同様だ。日本のネット上でのメーガン総たたきは、本国イギリスでも見られないくらいだ。日本にも皇室があるので英王室に理解があると自負する日本人が多いのかもしれない。だが人種問題にも関わる騒動だし、白人ではない日本人の中にメーガンに同情的な人がもう少し多くてもいいのではないか。たとえ彼女の理解が間違いであっても、そのくらい欧米で人種差別されてきた人たちの感情はセンシティブなのだから。

テレビ業界でも似た状況が見られる。中国や朝鮮半島の問題で登場する専門家を除くと、テレビに出演する外国人コメンテーターは大抵欧米の白人で、日本人は彼らの意見をありがたく頂戴している。中東やアフリカからの意見などこの世に存在しないような偏重ぶりだ。アメリカの報道番組には、アフリカ系やアジア系のコメンテーターが常に登場しているのに、である。

しかし、親欧米は日本人だけではないようだ。アジア、特に韓国と中国も、政府の方針はさておき、国民はとても欧米志向だと思う。子どもに良い教育を受けさせたい、成功させたいと思う親は、経済的に無理をしてでも子を欧米に送る。野心的な人は、自分たちより成功している人や層を模倣するものだ。つまり、そういうアジア人はとても欧米白人志向だということだ。しかも時として過去の人種差別的な歴史に、白人以上に無批判であったりする。

プロフィール

外国人リレーコラム

・石野シャハラン(異文化コミュニケーションアドバイザー)
・西村カリン(ジャーナリスト)
・周 来友(ジャーナリスト・タレント)
・李 娜兀(国際交流コーディネーター・通訳)
・トニー・ラズロ(ジャーナリスト)
・ティムラズ・レジャバ(駐日ジョージア大使)

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

豪企業信頼感指数が急落、イラン戦争の影響懸念

ワールド

トランプ氏投稿のキリスト風画像、支持層の批判で削除

ビジネス

日産、車種を56から45に縮小 30年度までに米中

ワールド

ロシア、BRICS諸国に共同食料備蓄の創設呼びかけ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:台湾有事の新シナリオ
特集:台湾有事の新シナリオ
2026年4月21日号(4/14発売)

地域紛争の「大前提」を変えた米・イラン戦争が台湾侵攻の展開に及ぼす影響をシミュレーション

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本は「イノベーションのやり方」を忘れた...ホンダ「EV撤退」が示す、日本が失った力の正体
  • 2
    「いい加減にして...」ケンダル・ジェンナーの「目のやり場に困る」姿にネット騒然
  • 3
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国防軍は崩壊寸前」
  • 4
    【銘柄】イラン情勢で「任天堂」が急落 不確実な相…
  • 5
    トランプがまた暴走?「イラン海上封鎖」の勝算
  • 6
    目のやり場に困る...元アイスホッケー女性選手の「密…
  • 7
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 8
    「仕事ができる人」になる、ただ1つの条件...「頑張…
  • 9
    「違法レベル...」ゼンデイヤの「完全に透けて見える…
  • 10
    BTS再始動、3年9カ月の沈黙を経て──変わる音楽市場で…
  • 1
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 2
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 3
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 4
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 7
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国…
  • 8
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 9
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 10
    中国がイラン戦争一時停戦の裏で大笑い...一時停戦に…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 10
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story