コラム

「消費減税」は本当に実現できる? 野党各党が主張する政策とは......財源示す「責任政党化」が進む

2025年05月22日(木)17時29分
減税に消極的な自民党と、消費減税を訴える野党

NICOLAS DATICHEーPOOLーSOPA IMAGESーREUTERS

<夏の参院選に向けて「消費減税」で一致しているように見える野党だが、各党の主張をよく見てみると、実際には恒久財源の面では自民党と大差ない党も>

夏に予定されている参院選を前に、野党各党が消費減税を強く主張している。一方、自民党は減税に消極的なスタンスを崩しておらず、与野党の隔たりは大きい。もっとも野党各党も、表面的には消費減税で一致しているように見えるが、その中身にはかなりの濃淡があり、実質的に足並みはそろっていない。

当初、自民党は今国会での予算成立を受けて、直ちに補正予算の編成に入り、給付金を中心とした経済対策を実施する腹づもりであった。だが、給付金に対する世論の反応が良くないことから、補正予算の成立そのものを諦め、ガソリン代補助の再開など、一部の生活支援対策のみで参院選に臨もうとしている。


これに対して野党各党は消費減税を主張しており、ここを参院選の対立軸にしたい考えだ。ところが、野党第1党の立憲民主党は消費減税をうたっているものの、1年間の期間限定で食料品の消費税率をゼロにするというものであり、その後は給付付き税額控除に移行するとしている。

つまり同党の提言は、消費減税というキーワードが入っているものの、事実上、低所得者に向けた給付に近い政策であり、むしろ所得再分配機能強化を主張していると捉えたほうがいいだろう。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

タイ、次期中銀総裁にウィタイ政府貯蓄銀頭取 政府と

ワールド

台湾輸出受注、6月は予想上回る前年比+24.6% 

ワールド

英東部の原発計画承認、政府が最大株主 加年金が出資

ビジネス

ユーロ圏の企業向け融資、第2四半期は増加 貿易摩擦
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「カロリーを減らせば痩せる」は間違いだった...減量のカギは「ホルモン反応」にある
  • 2
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは「ゆったり系」がトレンドに
  • 3
    「死ぬほど怖かった...」高齢母の「大きな叫び声」を聞いて駆け付けた娘が見た「まさかの光景」にネット爆笑
  • 4
    「マシンに甘えた筋肉は使えない」...背中の筋肉細胞…
  • 5
    小さなニキビだと油断していたら...目をふさぐほど巨…
  • 6
    中国経済「危機」の深層...給与24%カットの国有企業…
  • 7
    日本では「戦争が終わって80年」...来日して35年目の…
  • 8
    父の急死後、「日本最年少」の上場企業社長に...サン…
  • 9
    「巨大なヘラジカ」が車と衝突し死亡、側溝に「遺さ…
  • 10
    その病院には「司令室」がある...「医療版NASA」がも…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは「ゆったり系」がトレンドに
  • 4
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 5
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 6
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 7
    「マシンに甘えた筋肉は使えない」...背中の筋肉細胞…
  • 8
    「想像を絶する」現場から救出された164匹のシュナウ…
  • 9
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 10
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 7
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 8
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 9
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 10
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story