コラム

イラン攻撃が招いた「トランプ支持層」の分裂...米経済にも「意外な影響」が

2025年07月11日(金)17時23分
トランプのイラン攻撃の経済への影響

DADO RUVIC-REUTERS

<イラン攻撃に踏み切ったアメリカだが、これは「岩盤保守」というトランプ大統領の支持基盤の意向に反する行動であり、その影響は経済にもおよぶことになりそうだ>

政権内部から反対意見が出るなか、トランプ米大統領がイラン攻撃に踏み切った。事態がエスカレートすることは各国にとってデメリットと判断され、一旦は停戦が実現している。だが、双方が勝利宣言を行うという奇妙な状況であり、トランプ氏も今後の攻撃継続に含みを残すなど予断を許さない状況が続く。

中東情勢の悪化は、原油価格の上昇など世界経済に混乱をもたらす要因となるが、今回、トランプ政権がイラン攻撃に踏み切ったことは、中長期的に見た場合、さらに面倒な事態を招く可能性がある。その理由は、アメリカ国内の世論が二分する可能性が否定できず、方向性が見えてきた政権運営が再び不安定化するリスクを抱えたからである。


トランプ政権の支持層はさまざまだが、その中でもかなりの影響力を持っているのが「岩盤保守」と呼ばれる人たちである。

日本では保守と聞くと、日米同盟強化や防衛費の増額を望む人たちというイメージが強い。だが、独立革命で建国を成し遂げたアメリカ人にとっての保守思想というのは、日本におけるそれとはだいぶニュアンスが異なっている。

彼らは徹底的にアメリカ第一主義を掲げており、国際紛争にも基本的に関わるべきではないと考える傾向が強い。従って他国との本格的な戦争はもちろんのこと、軍事介入ですら嫌う人も多い。アメリカは戦後、世界の警察官として世界に君臨してきたが、こうしたスタンスとは正反対と考えてよいだろう。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネスなどの分野で執筆活動を行うほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)、『スタグフレーション』(祥伝社新書)、『本気で考えよう! 自分、家族、そして日本の将来』 (幻冬舎新書)など著書多数。

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