トランプ関税、日銀にとっては「実はありがたい」? うまく活用できれば日本の消費者の助けに

STANISLAV KOGIKUーSOPA IMAGESーREUTERS
<アメリカ政府による「高関税政策」が世界経済にとってマイナス要因であることはたしかだが、適切な金融政策を推進できずにいた日銀にとっては好材料となる可能性が>
トランプ関税の実施によって、日銀の金融政策を取り巻く環境に変化が生じ始めている。アメリカの高関税政策は世界経済にとってマイナス要因だが、状況次第では金融正常化の側面支援となる可能性もある。
日銀は大規模緩和策からの撤退を目指し、金利の引き上げを進めている。金融正常化は国内景気にとって逆風となることに加え、金利上昇に伴う住宅ローンの負担増や国債の利払い費急増などが予想されるため、日銀は思うように利上げを進めることができていない。
こうしたなか、出てきたのがトランプ関税である。トランプ政権は、アメリカの貿易赤字削減を政策目標として掲げており、アメリカへの輸入に対して高関税をかけるとともにドル安を志向している。
日本円に対しては、切り上げを望む流れとなっており、アメリカの意向を受けて為替市場では既に円高が進んでいる状況だ。一連の動きは日本の金融政策にも影響を及ぼすことになりそうだ。
先ほども述べたように、日銀は金融正常化を進めたいと考えているものの、利上げによる弊害にも留意する必要がある。一方で、国内経済は円安による輸入物価の上昇に苦しんでおり、物価の安定を強く求める声が日増しに高まっている。
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