高市積極財政にアメリカが慌てる理由
WHAT IS TRUMP REALLY AFRAID OF?
ワシントンでベッセント財務長官と会談した片山財務相(1月12日) JAPAN’S MINISTRY OF FINANCE
<1ドル160円に迫った円安が突然反転した。背景に何があったのか>
▼目次
怖いのはリーマン危機の再現
1月下旬のある日、スイス・ダボス会議の席上でスコット・ベッセント米財務長官はキリンのように長い首を曲げ、傍らの片山さつき財務相に語りかけた。「サツキ、(日本の積極財政で)長期金利、急に上がってきたね。それでアメリカの金利も上がってきた。困っている(米国債の発行条件がきつくなる)。何とかならない?」
片山財務相は、ベッセントに顔を向けて言った。「スコッティー、分かったわ。何ができるか考えてみる。でも、それで円安が進むと困るのよね。これから総選挙なのに、インフレがひどくなっちゃう」──。
これは、1月20日のFOXニュースのベッセントへのインタビューから筆者が想像した対話。ダボス会議が閉幕した23日、日銀は政策決定会合で、一部で予想されていた利上げを控え、金利を据え置くことを決めた。案の定、円安は進み、1ドル=160円に迫る。だがその日の夜、円は急上昇を始め、28日には152円台に達した。
市場では、日米両国当局から「レートチェック」が入った、という声が聞かれた。レートチェックとは当局が通貨業者に「おたく今どんなレートで商売してますか?」と電話などで聞くことで、望ましくない動きを牽制することだ。ベッセントは、円安進行を素早く防いでくれたのだ。
だがこれを引き金に、ドルは世界の主要通貨に対して軒並み値を下げ、ドルの強さを示す指標は4年ぶりの低水準となった。これまで蓄積されてきたドル不信、トランプのアメリカへの不信が噴き出しかねない。28日に米FRBはトランプが求めてきた利下げはせず、金利を据え置き、ドルは1ドル=153円台に持ち直す。





