ついに始まった事業者のEV大転換...自動車産業の「改革」も待ったなしに
MARIOGUTI/ISTOCK
<運送業者が相次いでEV導入を発表。すべての面でガソリン車を上回るEVが、自動車産業そのものにも構造改革を迫る>
運送大手の佐川急便が宅配業務で使用する軽自動車を全て電気自動車(EV)に転換すると発表した。2030年度までに切り換えを実現する予定だが、車両は全て中国で生産される。EV化が進むと自動車の開発や製造が容易になり、異業種からの参入が増えると予想されていたが、その動きが早くも顕在化した格好だ。
同社は現在2万7000台の営業車両を保有しており、このうち約3割(7200台)が軽自動車である。軽自動車をEVに切り換えることで、グループ全体の二酸化炭素排出量を1割削減したい意向だ。競合のヤマト運輸もEVトラックの部分導入を20年から開始したほか、日本郵便も25 年までに1万2000台のEVを導入する予定だ。
EVは内燃機関の自動車と比較して部品点数が10分の1になるともいわれており、劇的なコスト削減効果が見込める。大手部品メーカーである日本電産の永守重信会長兼CEOが、EV化によって「自動車価格は30万円になる」と発言して話題を呼んだが、技術動向を冷静に分析すればこの数字は決して誇張ではない。
かつてEVには、航続距離が短い、寒冷地で出力が落ちる、バッテリーの価格が高いといった欠点があったが、それは10年前の古い常識である。最新のEVはほぼ全ての面でガソリン車を超えており、事業者にとってはEV化が最も合理的な選択肢となっている。日本各地の地域バス会社も続々と中国製EVバスの採用を決めている状況だ。
日本の産業界にはどんな影響が?
ここで問題となるのが日本の産業界への影響である。EVは構造が簡単なので新興企業も簡単に開発できてしまう。
しかも、EVの基幹部品であるモーターと蓄電池は汎用品なので新たに用意する必要はなく、車体や電装系などは既存の部品メーカーが製造できる。EV時代においては、完成車メーカーと部品メーカーの境界線は限りなく低くなり、場合によっては完成車メーカーが単なる製造の下請けになる可能性も否定できない。
実際、佐川のEVも設計と開発は国内のベンチャー企業が行っており、製造については中国の広西汽車集団に外注している。家電やAV機器の分野では、国内企業が設計開発を行い、中国メーカーに製造委託するのはごく当たり前だが、自動車でもその流れが確立しつつある。
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